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雇い止めは会社都合になる?条件や失業保険の受給方法を解説

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雇い止めされた場合、会社都合退職に該当するかどうかで失業保険の受給条件は大きく変わります。

本記事では、雇い止めが会社都合になる3つの条件や自己都合になるケース、失業保険の受給手続きの流れ、不当に自己都合にされた場合の対処法まで詳しく解説します。

目次

雇い止めとは?解雇との違いを解説

雇い止めされた場合、それが会社都合に該当するのかどうかは、失業保険の受給条件に大きく影響します。しかし、そもそも「雇い止め」という言葉の意味や、似た用語である「解雇」「契約満了」との違いを正しく理解していない方も少なくありません。

ここでは、雇い止めの基本的な意味と仕組み、そして解雇や契約満了との違いについてわかりやすく解説します。まずは正しい知識を身につけることで、自分の置かれた状況を的確に判断できるようにしましょう。

雇い止めの意味と基本的な仕組み

雇い止めとは、契約社員やパート・派遣社員など「期間の定めがある労働契約(有期労働契約)」で働いている労働者に対して、契約期間の満了時に会社側が契約を更新せず、雇用関係を終了させることを指します。

たとえば、1年ごとの有期契約を結んで働いている契約社員が、契約の更新時期を迎えた際に「次回の契約は更新しません」と会社から通告されるケースが典型的な雇い止めです。

有期労働契約は、本来であれば契約期間の満了とともに自然に終了するのが原則です。しかし、実際には何度も契約更新が繰り返され、実質的に正社員と変わらない働き方をしている方も多く存在します。そのような状況で突然契約を打ち切られると、労働者にとっては事実上の解雇と同じ影響を受けることになります。

雇い止めと解雇の違い

雇い止めと解雇は、どちらも「会社の意向により仕事を失う」という点では共通していますが、法律上の意味はまったく異なります。

最大の違いは、雇用契約が終了するタイミングです。雇い止めは「契約期間の満了時」に契約を更新しないことで雇用を終了させます。一方、解雇は「契約期間の途中」で会社側が一方的に労働契約を打ち切る行為を指します。

また、対象となる労働者にも違いがあります。雇い止めの対象は、契約社員やパートなど有期労働契約を結んでいる労働者です。解雇は、正社員のように期間の定めがない無期労働契約の労働者が主な対象となりますが、有期契約の労働者が契約期間中に辞めさせられる場合も「解雇」に該当します。

法的な規制の厳しさも異なります。解雇には「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が必要であり、労働契約法第16条で厳しく制限されています。有期契約の期間途中の解雇はさらにハードルが高く、「やむを得ない事由」がなければ認められません(労働契約法第17条)。

雇い止めと契約満了の違い

雇い止めと契約満了は混同されやすいですが、この2つにも明確な違いがあります。

契約満了とは、有期労働契約で定めた期間が終了することそのものを指します。契約期間の到来によって、労使双方が合意のもとで自然に契約が終了する状態です。たとえば、「今回の契約期間で終了」と最初から双方が認識している場合は、単なる契約満了にあたります。

一方で雇い止めは、契約満了のタイミングで「労働者は契約の更新を希望しているにもかかわらず、会社側がこれを拒否して契約を終了させる」ことを意味します。つまり、労働者の意に反して契約が打ち切られる点が、単なる契約満了との大きな違いです。

この区別は、退職後の失業保険の取り扱いにも直接影響します。労使双方が合意した契約満了であれば自己都合退職として扱われるのが一般的ですが、雇い止めの場合は状況によって会社都合退職と判断される可能性があります。会社都合退職に該当すれば、失業保険の給付開始が早まったり、受給日数が増えたりするなどの優遇を受けられます。

雇い止めが会社都合になる3つの条件

雇い止めをされた場合、すべてのケースが会社都合退職になるわけではありません。会社都合退職として扱われるかどうかは、雇用保険上の「特定受給資格者」または「特定理由離職者」に該当するかによって判断されます。

会社都合退職に該当すれば、失業保険の給付制限がなくなり、受給開始が早まるだけでなく、給付日数も増える可能性があります。そのため、自分の雇い止めがどの条件に当てはまるのかを正確に把握しておくことが非常に重要です。

ここでは、雇い止めが会社都合退職として認められる3つの条件を解説します。いずれの条件にも共通する大前提として、「労働者本人が契約の更新を希望していたにもかかわらず、更新されなかった」ことが必要です。

3年以上雇用され契約更新が1回以上ある場合

1つ目の条件は、契約更新を1回以上行い、通算で3年以上継続して雇用されていた場合です。この条件に該当し、労働者が更新を希望していたにもかかわらず契約が更新されなかったときは、原則として「特定受給資格者」、つまり会社都合退職として扱われます。

たとえば、1年ごとの有期契約を4回更新して合計4年間勤務していた契約社員が、5回目の更新時に会社側から「今回は更新しない」と通告されたケースが、これに該当します。

3年以上にわたり契約が更新され続けてきたということは、実質的に無期雇用の正社員と変わらない状態で働いてきたと判断されやすくなります。そのため、労働者が契約の継続を期待するのは当然であり、会社側の一方的な更新拒否は「会社都合」とみなされるのです。

なお、雇い止めの30日前までに事前通知(雇い止めの予告)があったかどうかも判断に影響する場合があります。事前通知がなかった場合は、より会社都合と認定されやすい傾向にあるため、通知の有無も確認しておきましょう。

契約時に更新が確約されていた場合

2つ目の条件は、有期労働契約を締結する際に、契約の更新が確約されていた場合です。雇用契約書や労働条件通知書に「契約を更新する」と明確に記載されていたにもかかわらず、実際には更新されなかった場合、会社都合退職(特定受給資格者)に該当します。

この条件のポイントは、「更新する場合がある」という曖昧な表現ではなく、「更新する」と断定的に記載されていたかどうかです。契約書上で更新が約束されていたにもかかわらず会社が一方的に更新を拒否した場合は、契約違反に近い行為とみなされます。

具体的には、雇用契約書の「契約更新の有無」欄に「自動的に更新する」「更新する」といった記載がある場合が該当します。面接時に口頭で「ずっと働いてもらうつもりです」と説明を受けた場合も、証拠が残っていれば有利に働く可能性があります。

契約更新の可能性が明示されていた場合

3つ目の条件は、契約時に「契約の更新または延長の可能性がある」ことが明示されていた場合です。この条件に該当し、労働者が更新を希望していたにもかかわらず更新されなかった場合は、「特定理由離職者」として扱われます。

2つ目の条件との違いは、更新が「確約」されていたのか、それとも「可能性がある」と示されていたのかという点です。雇用契約書に「更新する場合がある」「業務の状況により更新を判断する」といった条件付きの記載がある場合が、この3つ目の条件に該当します。

特定理由離職者は、厳密には「会社都合退職(特定受給資格者)」とは異なるカテゴリーですが、失業保険における実務上の扱いはほぼ同等です。7日間の待期期間のみで給付制限なく失業保険を受給でき、受給に必要な雇用保険の加入期間も「離職前1年間に6ヵ月以上」と緩和されます。

ただし、注意すべき点が1つあります。最初から「契約の更新はしない」と明示されていた場合や、労働者本人が更新を希望していなかった場合は、この条件には該当しません。あくまで「更新の可能性があると説明を受けていた」にもかかわらず更新されなかったことが前提条件です。

自分がどの条件に該当するか判断が難しい場合は、離職票を受け取った段階でハローワークに相談することをおすすめします。離職理由について会社側と労働者側の主張が異なる場合は、ハローワークが双方に確認したうえで最終判断を行います。

雇い止めが自己都合になるケースとは

雇い止めは必ずしも会社都合退職になるわけではありません。雇用契約の内容や労働者自身の意思によっては、自己都合退職として扱われるケースもあります。

自己都合退職になると、失業保険の受給面で大きな不利益を被る可能性があります。給付制限期間が発生し、すぐに失業保険を受け取れないだけでなく、給付日数も会社都合退職に比べて短くなります。

ここでは、雇い止めが自己都合退職になる代表的なケースと、本来は会社都合であるにもかかわらず不当に自己都合にされてしまった場合の対処法を解説します。

労働者が契約更新を希望しなかった場合

雇い止めが自己都合退職となる最も典型的なケースは、労働者自身が契約更新を希望しなかった場合です。

契約期間の満了時に、会社側が「更新しますか?」と確認したにもかかわらず、労働者が「更新は希望しません」と回答して退職した場合は、労働者の意思による退職とみなされます。この場合、たとえ会社側に更新する意向があったとしても、自己都合退職として扱われるのが原則です。

注意が必要なのは、更新を断る理由がないにもかかわらず、会社から暗に退職を促されて「更新を希望しない」と言わざるを得なかった場合です。たとえば、上司から「もう更新しなくてもいいよね」と繰り返し言われたり、業務量を極端に減らされたりした結果、やむなく更新を辞退したケースでは、実質的に会社都合である可能性があります。

形式上は労働者が更新を希望しなかったように見えても、実態として会社が退職を誘導していた場合には、自己都合退職の扱いを争える余地があります。退職時のやり取りやメール、面談の記録は証拠として残しておくようにしましょう。

契約書に「更新なし」と明記されていた場合

もう1つの代表的なケースは、雇用契約書や就業規則に「契約の更新はしない」「更新は原則なし」と最初から明記されていた場合です。

この場合、労働者は契約締結の時点で「この契約は期間満了をもって終了する」と認識しているものとみなされます。あらかじめ更新がないことが明示されており、その通りに運用された場合は、会社都合退職にも特定理由離職者にも該当しないのが原則です。

具体的には、雇用契約書の「契約更新の有無」欄に「更新しない」と記載されていたり、「本契約は○年○月○日をもって終了し、更新は行わない」と明記されていたりするケースが該当します。

ただし、契約書に「更新なし」と書かれていても、実際の運用と矛盾がある場合は話が変わります。たとえば、契約書には「更新なし」と記載されているのに、上司や人事から口頭で「ずっと働いてもらうつもりだから安心して」と説明されていた場合は、契約更新への合理的期待があったと判断される可能性があります。

契約書の文言と実態が異なる場合は、口頭でのやり取りの内容やメール、面談記録などが判断材料になります。契約書の記載だけで自己都合と決めつけず、実際の状況を踏まえて判断することが大切です。

会社都合を自己都合にされた時の対処法

雇い止めの実態は会社都合であるにもかかわらず、会社側から「自己都合退職にしてほしい」と求められるケースは少なくありません。

会社がこのような対応をとる背景には、会社都合退職が発生すると、雇用関連の助成金が一定期間申請できなくなったり、企業イメージに悪影響を及ぼしたりするという事情があります。しかし、労働者にとっては失業保険の受給条件に大きく関わる問題であるため、安易に会社の要請に応じるべきではありません。

万が一、不当に自己都合退職として処理されてしまった場合でも、以下の方法で是正を求めることが可能です。

離職票の離職理由を必ず確認する

会社を退職した後、ハローワークで失業保険の手続きをする際には「雇用保険被保険者離職票」を提出します。この離職票には退職理由が記載されており、この内容が失業保険の受給条件を左右します。

離職票を受け取ったら、まず「⑦離職理由」欄の記載を確認しましょう。ここに記載された離職区分によって、特定受給資格者(会社都合退職)か、特定理由離職者か、一般の離職者(自己都合退職)かが区別されます。

本来は会社都合に該当するはずの雇い止めであるにもかかわらず、離職票に「自己都合退職」と記載されていた場合は、そのまま受理してはいけません。離職票の「離職者本人の判断」欄には、会社が記載した離職理由に対する労働者の意見を書くスペースがあります。会社の記載内容に納得できない場合は、ここに「異議有り」と明記しましょう。

ハローワークに異議申し立てをする

離職票の退職理由が実態と異なる場合は、ハローワークに直接相談して異議申し立てを行いましょう。

ハローワークでは、離職票に記載された退職理由について、会社側と労働者側の主張が食い違っている場合に、双方から事情を聴取したうえで最終的な判断を下します。つまり、会社が離職票に「自己都合」と記載していたとしても、ハローワークの判断で「会社都合」に変更されることがあるのです。

異議申し立てをスムーズに進めるためには、自分の主張を裏付ける証拠をできるだけ多く準備しておくことが有効です。具体的には、雇用契約書や労働条件通知書、過去の契約更新時の書類、会社とのメールやメッセージのやり取り、面談の内容をまとめたメモなどが証拠として活用できます。

雇い止めで会社都合になった場合の失業保険

雇い止めが会社都合退職として認められた場合、失業保険(雇用保険の基本手当)の受給において、自己都合退職よりも大幅に有利な条件が適用されます。

具体的には、給付制限期間の免除、受給資格要件の緩和、そして所定給付日数の優遇といったメリットがあります。これらの違いを正しく理解しておくことで、退職後の生活設計をより安定したものにできるでしょう。

ここでは、雇い止めで会社都合退職になった場合に関係する「特定受給資格者」と「特定理由離職者」の違い、受給資格、給付制限、所定給付日数の優遇内容を詳しく解説します。

特定受給資格者・特定理由離職者の違い

雇い止めで離職した場合、失業保険上は「特定受給資格者」または「特定理由離職者」のいずれかに分類される可能性があります。どちらも一般の自己都合退職者より有利な条件で失業保険を受給できますが、両者には明確な違いがあります。

特定受給資格者とは、倒産や解雇など会社都合により、再就職の準備をする時間的余裕がないまま離職を余儀なくされた人を指します。雇い止めの場合は、3年以上継続して雇用されていたケースや、契約時に更新が確約されていたにもかかわらず更新されなかったケースが該当します。

一方、特定理由離職者とは、特定受給資格者には該当しないものの、有期労働契約が更新されなかったことや、やむを得ない正当な理由により自己都合退職した人を指します。雇い止めの場合は、契約書に「更新の可能性あり」と明示されていたにもかかわらず更新されなかったケースが該当します。

両者の最も大きな違いは、所定給付日数です。特定受給資格者は年齢や雇用保険の加入期間に応じて最大330日まで受給できるのに対し、特定理由離職者は原則として一般の離職者と同じ90日から150日となります。ただし、雇い止めによる特定理由離職者については、暫定措置として特定受給資格者と同等の給付日数が適用されるケースがあります。

いずれに該当するかは離職票の離職区分によって判定され、最終的にはハローワークが判断します。

受給資格と必要な加入期間

失業保険を受給するには、雇用保険に一定期間以上加入していることが必要です。特定受給資格者および特定理由離職者の場合は、この加入期間の要件が一般の離職者より緩和されています。

一般の自己都合退職者の場合、受給資格を得るには「離職日以前の2年間に、被保険者期間が通算12ヵ月以上」あることが必要です。しかし、特定受給資格者と特定理由離職者は「離職日以前の1年間に、被保険者期間が通算6ヵ月以上」あれば受給資格を得られます。

給付制限なしで受給できるメリット

雇い止めで会社都合退職に該当した場合の大きなメリットの1つが、給付制限期間なしで失業保険を受給できることです。

通常の自己都合退職では、ハローワークで求職の申し込みをした後、7日間の待期期間に加えて原則1ヵ月間(2025年3月以前の離職の場合は2ヵ月間)の給付制限期間が設けられます。この間は失業保険を一切受け取ることができないため、退職後すぐに収入が途絶える期間が生まれてしまいます。

一方、特定受給資格者や特定理由離職者に認定された場合は、この給付制限期間が免除されます。7日間の待期期間が終了した翌日から失業保険の支給対象期間となり、初回の失業認定日を経て比較的早い段階で給付金が振り込まれます。

退職後の生活費に不安を抱える方にとって、この差は非常に大きいといえるでしょう。会社都合退職であれば、退職後すぐに経済的な支援を受けながら、落ち着いて再就職活動に取り組むことができます。

そのため、雇い止めを受けた際には、自分の退職が会社都合退職に該当するかどうかを離職票で必ず確認し、正しい区分で失業保険の申請を行うことが重要です。

所定給付日数の優遇内容

失業保険を受給できる日数の上限を「所定給付日数」と呼びます。会社都合退職に該当する特定受給資格者は、一般の自己都合退職者に比べて、この所定給付日数が大幅に優遇されています。

一般の自己都合退職者の場合、雇用保険の加入期間に応じて所定給付日数は90日から150日の範囲で設定されます。年齢による違いはなく、加入期間のみで決まるのが特徴です。

一方、特定受給資格者の場合は、加入期間に加えて離職時の年齢も考慮され、90日から最大330日まで受給できます。特に30歳以上45歳未満で加入期間が20年以上ある場合は最長の330日が適用されるなど、年齢と加入期間の組み合わせによって手厚い給付を受けられます。

たとえば、35歳で雇用保険に10年加入していた方の場合、自己都合退職では所定給付日数が120日ですが、特定受給資格者に該当すれば210日に増えます。単純に比較しても90日分の差があり、基本手当日額が5,000円と仮定すると約45万円もの差額になります。

雇い止めの失業保険を受給する手続きの流れ

雇い止めで離職した場合、失業保険(雇用保険の基本手当)を受給するには、所定の手続きを順番に進める必要があります。手続きの流れを事前に把握しておけば、退職後にスムーズに行動でき、受給開始の遅れを防ぐことができます。

失業保険は、原則として離職日の翌日から1年間が受給期間です。手続きが遅れるとその分だけ受給できる期間が短くなる可能性があるため、退職後はできるだけ早く行動を起こすことが大切です。

ここでは、離職票の受け取りからハローワークでの手続き、そして実際に失業保険が支給されるまでの流れを3つのステップで解説します。

離職票を会社から受け取る

失業保険の手続きで最初に必要になるのが、「雇用保険被保険者離職票(離職票-1、離職票-2)」の2種類の書類です。これらは退職した会社から交付されるもので、ハローワークに提出しなければ失業保険を受け取ることはできません。

離職票の発行手続きは、会社側が行います。退職日の翌々日から10日以内に、会社がハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」と「離職証明書」を提出し、ハローワークから離職票が交付される仕組みです。その後、会社から退職者本人へ郵送されるのが一般的な流れとなります。

退職から離職票が届くまでの目安はおおむね2週間程度ですが、会社の事務処理の状況によっては1ヵ月近くかかるケースもあります。退職前に「離職票の発行をお願いします」と会社に伝えておくと、手続きがスムーズに進みやすくなります。

離職票が届いたら、必ず「離職票-2」に記載された離職理由を確認しましょう。雇い止めで会社都合退職に該当するはずなのに、自己都合退職として記載されているケースもゼロではありません。記載内容に誤りがある場合は、そのままハローワークに提出せず、異議がある旨を離職票に記入して対応しましょう。

なお、離職票がなかなか届かない場合は、住所地を管轄するハローワークに相談すれば、会社への催促や仮手続きについて案内を受けられます。

ハローワークで求職申し込みをする

離職票が届いたら、住所地を管轄するハローワークに出向いて「求職の申し込み」と「失業保険の受給手続き」を行います。この手続きを行った日が「受給資格決定日」となり、ここから待期期間のカウントが始まります。

ハローワークでの手続きに必要な書類は、離職票-1と離職票-2、マイナンバーカード(または個人番号確認書類と身元確認書類)、証明写真2枚、本人名義の預金通帳またはキャッシュカードです。書類に不備があると手続きが進まないため、事前に準備を整えてから訪問しましょう。

ハローワークでは、まず求職登録を行い、続いて雇用保険の窓口で離職票を提出します。この際、離職理由の確認が行われ、特定受給資格者や特定理由離職者に該当するかどうかが判定されます。離職理由について会社と主張が異なる場合は、ハローワークが双方から事情を聴取したうえで最終判断を行います。

受給資格の決定後、後日開催される「雇用保険受給者初回説明会」に参加します。説明会では、雇用保険の受給に関する重要事項が説明され、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が交付されます。あわせて、第1回目の失業認定日も通知されるため、忘れずに確認しておきましょう。

待期期間後に失業保険を受給する

ハローワークで受給資格が決定されると、まず7日間の「待期期間」が始まります。この待期期間は離職理由に関係なく全員に適用されるもので、この間は失業保険が支給されません。

雇い止めで会社都合退職(特定受給資格者)や特定理由離職者に認定された場合は、7日間の待期期間が終了した翌日から失業保険の支給対象期間に入ります。自己都合退職のように給付制限期間が設けられないため、比較的早い段階で給付を受けられるのが大きなメリットです。

ただし、実際に銀行口座に失業保険が振り込まれるのは、受給資格決定日からおよそ1ヵ月後が目安です。これは、初回の失業認定日にハローワークで失業の認定を受け、その後に振り込み処理が行われるためです。

以降は、4週間ごとに指定された失業認定日にハローワークへ出向き、「失業認定申告書」に求職活動の実績を記入して提出します。認定を受けるためには、原則として認定対象期間中に2回以上の求職活動実績が必要です。求職活動として認められるのは、ハローワークでの職業相談や企業への応募、各種セミナーへの参加、資格試験の受験などです。

この失業認定と支給のサイクルを、再就職が決まるか所定給付日数を使い切るまで繰り返します。再就職が早期に決まった場合は、残りの給付日数に応じて「再就職手当」を受け取れる可能性もあるため、積極的に就職活動を進めていきましょう。

雇い止めが無効になるケースと相談先

雇い止めは、契約期間が満了したからといって必ずしも有効になるわけではありません。労働契約法第19条に定められた「雇い止め法理」により、一定の要件を満たす場合には雇い止めが無効と判断され、従前と同じ条件で契約が更新されたものとみなされることがあります。

特に、長期にわたって契約更新を繰り返してきた場合や、会社側が更新を期待させるような言動をしていた場合は、たとえ契約書上は有期契約であっても、雇い止めが認められないケースが少なくありません。

ここでは、雇い止めが無効と判断される2つの要件と、雇い止めに関する悩みを相談できる窓口について解説します。

雇い止めが無効と判断される2つの要件

雇い止めが無効になるかどうかは、労働契約法第19条に基づいて判断されます。この条文では、以下の2つの要件のいずれかに該当し、かつ会社側の雇い止めに「客観的に合理的な理由」がなく「社会通念上相当であると認められない」場合に、雇い止めが無効になるとされています。

つまり、2つの要件のどちらかに当てはまるだけでは不十分で、あわせて雇い止めの理由に合理性と相当性がないことも必要です。それぞれの要件を具体的に見ていきましょう。

実質的に無期契約と同視できる場合

1つ目の要件は、有期労働契約が過去に繰り返し更新されており、その実態が「期間の定めのない労働契約(無期契約)を締結している労働者を解雇することと社会通念上同視できる」と認められる場合です(労働契約法第19条第1号)。

具体的には、契約の更新回数が多く雇用期間が長期にわたっている場合や、更新の手続きが形骸化して自動的に更新が続いていた場合がこの要件に該当しやすくなります。

たとえば、1年契約を10回以上繰り返して10年以上勤務しているケースや、更新のたびに契約書を新たに取り交わすことなく、何の面談もないまま自動的に継続されていたケースなどが典型例です。

このような場合、契約上は有期雇用であっても、実態としては正社員と変わらない状態にあると判断されます。そのため、雇い止めを行うには正社員の解雇と同等の合理的な理由が必要となり、単に「契約期間が満了したから」という理由だけでは雇い止めが認められません。

契約更新に合理的期待がある場合

2つ目の要件は、労働者が有期労働契約の更新を期待することについて「合理的な理由がある」と認められる場合です(労働契約法第19条第2号)。

この要件は、1つ目のように長期間の反復更新がなくても適用される可能性があるのが特徴です。契約の更新回数や勤続年数だけでなく、契約締結時の経緯や会社側の言動、業務の内容などを総合的に考慮して判断されます。

たとえば、以下のような状況があった場合に、合理的期待があると認められやすくなります。

採用面接時に「長く働いてほしい」「よほどのことがない限り更新する」と説明されていた場合や、雇用契約書に「更新する場合がある」と記載されていた場合が該当します。また、同じ職場で同様の立場にある他の有期契約労働者が継続的に更新されている状況や、業務内容が正社員と同等で恒常的なものである場合も、合理的期待の根拠になりえます。

この要件に当てはまる場合も、会社が雇い止めをするには客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が求められます。「業績が悪化した」「人員を削減する必要がある」といった理由であっても、その必要性や手続きの妥当性が厳しく審査されることになります。

雇い止めの悩みを相談できる窓口

雇い止めを通告されて「不当ではないか」と感じた場合は、一人で抱え込まず、専門機関に相談することが重要です。相談先によって受けられるサポートの内容が異なるため、自分の状況に合った窓口を選びましょう。

総合労働相談コーナー

総合労働相談コーナーは、厚生労働省が各都道府県の労働局やハローワーク内に設置している無料の相談窓口です。雇い止め、解雇、賃金の未払い、ハラスメントなど、あらゆる労働問題について相談でき、予約不要で利用できるのが特徴です。

相談員が雇い止めの状況を聞き取り、法的な問題点の整理や解決の方向性についてアドバイスしてくれます。必要に応じて、労働局長による助言・指導の制度や、紛争調整委員会によるあっせん制度を紹介してもらえることもあります。

あっせん制度を利用すれば、弁護士や社会保険労務士などの専門家が間に入り、会社との間で話し合いによる解決を図ることが可能です。費用は無料で、裁判のような厳格な手続きも不要なため、まず最初に相談する窓口として適しています。

電話での相談にも対応しているため、直接出向くのが難しい場合でも利用しやすい点がメリットです。

弁護士への相談

雇い止めの撤回を求めて会社と交渉したい場合や、法的手段で争うことを検討している場合は、労働問題に詳しい弁護士に相談するのが最も効果的です。

弁護士は、雇用契約書や労働条件通知書、勤務実態などを精査したうえで、雇い止めの有効性を法的に判断してくれます。雇い止めが無効と判断できる場合は、代理人として会社との交渉を行い、それでも解決しなければ労働審判や訴訟といった法的手続きに進むことも可能です。

まとめ:雇い止めが会社都合か確認し適切に失業保険を受給しよう

雇い止めは、すべてが一律に会社都合退職や自己都合退職になるわけではなく、雇用契約の内容や更新の経緯、労働者の意思によって取り扱いが変わります。

雇い止めは突然通告されることも多く、不安や混乱を感じるのは当然のことです。しかし、正しい知識を持って適切に対処すれば、失業保険を有利な条件で受給しながら、安心して次のキャリアへ踏み出すことができます。この記事を参考に、ご自身の状況を整理し、必要な手続きを一つずつ進めていってください。

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この記事を書いた人

木本旭洋のアバター 木本旭洋 株式会社イールドマーケティング代表取締役

株式会社イールドマーケティング代表。大手広告代理店でアカウントプランナー、スタートアップで広告部門のマネージャーを経験後、2022年に当社を創業。バックオフィス部門も統括。入社・退職時の年金、健康保険、雇用保険、年末調整などを行なっています。

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