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定年退職後の失業保険|受給条件・金額・手続き方法を徹底解説

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本記事では、定年退職者が失業保険を受給するための条件や金額の計算方法、手続きの流れ、よくある疑問までわかりやすく解説します。損をしないために、ぜひ最後までお読みください。

目次

定年退職でも失業保険はもらえる?受給条件を解説

「長年勤めた会社を定年退職したけれど、失業保険はもらえるのだろうか」と疑問に感じている方は多いのではないでしょうか。結論からお伝えすると、定年退職者でも一定の条件を満たせば失業保険(正式名称:雇用保険の基本手当)を受給できます。

ただし、退職時の年齢によって受け取れる給付金の種類が異なるため、事前に制度を理解しておくことが大切です。ここでは、定年退職後に失業保険を受給するための条件や、年齢による制度の違いについて詳しく解説します。

定年退職者が失業保険を受給するための3つの条件

定年退職後に失業保険を受給するには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。

条件1:65歳の誕生日の前々日までに退職していること

失業保険(基本手当)を受給するには、退職日が65歳未満である必要があります。ここで注意すべきなのは、民法上の年齢計算では誕生日の前日に1歳年をとるとみなされる点です。つまり、65歳の誕生日の前日に満65歳になるため、失業保険を受給したい場合は「65歳の誕生日の2日前まで」に退職しなければなりません。

例えば、4月1日生まれの方が64歳で定年退職する場合、3月30日以前に退職していれば失業保険の対象となります。3月31日に退職すると、すでに65歳に達したとみなされ、失業保険ではなく「高年齢求職者給付金」の対象になってしまいます。

条件2:離職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12ヶ月以上あること

失業保険を受給するには、退職前の一定期間、雇用保険に加入している必要があります。具体的には、離職日以前の2年間で、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が通算して12ヶ月以上なければなりません。

定年まで同じ会社に勤めていた方であれば、この条件は問題なくクリアできるでしょう。転職を繰り返していた場合でも、「通算」で12ヶ月以上あれば条件を満たします。

条件3:失業の状態にあり、積極的に再就職活動を行っていること

失業保険は、働く意思と能力があるにもかかわらず就職できない「失業状態」にある方を支援する制度です。そのため、以下のような場合は受給対象外となります。

  • 病気やケガですぐに働けない状態にある
  • 妊娠・出産・育児のためすぐに就職できない
  • 家事や学業に専念する予定がある
  • すでに次の就職先が決まっている
  • 自営業を始める予定がある

定年後にしばらく休養したい場合は、退職日の翌日から2ヶ月以内に「受給期間延長申請」を行うことで、最長1年間受給期間を延長できます。

定年退職は「会社都合」と「自己都合」どちらになる?

失業保険を受給するうえで気になるのが、定年退職は「会社都合」と「自己都合」のどちらに分類されるかという点です。

結論として、定年退職は法的にはどちらにも明確に定められていません。ただし、失業保険の給付においては、定年退職は「契約期間満了」と同様の扱いになるのが一般的です。

これにより、定年退職者には以下のようなメリットがあります。

給付制限期間がない

自己都合退職の場合、7日間の待機期間に加えて原則2ヶ月間の給付制限期間が設けられ、その間は失業保険を受け取れません。しかし、定年退職の場合は7日間の待機期間のみで給付制限期間はありません。待機期間終了後、比較的早い段階で失業保険の受給が開始されます。

給付日数は「一般の離職者」と同じ

定年退職は倒産や解雇などの「特定受給資格者」には該当しないため、給付日数は自己都合退職と同様の基準が適用されます。被保険者期間に応じて90日・120日・150日のいずれかとなり、最大150日分の給付を受けられます。

なお、定年前に自らの意思で早期退職した場合は「自己都合退職」とみなされ、2ヶ月間の給付制限期間が発生する可能性があるため注意が必要です。就業規則で定められた定年年齢での退職であれば、給付制限なしで受給できます。

65歳以上の定年退職は「高年齢求職者給付金」が適用

65歳以上で定年退職した場合、通常の失業保険(基本手当)ではなく「高年齢求職者給付金」の受給対象となります。この制度は、65歳以上の雇用保険加入者が離職した際に支給される一時金で、失業保険とは異なる特徴を持っています。

高年齢求職者給付金の受給条件

高年齢求職者給付金を受給するための条件は、通常の失業保険よりも緩和されています。

  • 離職日時点で65歳以上であること
  • 離職日以前1年間に、被保険者期間が通算して6ヶ月以上あること
  • 失業の状態にあり、就職する意思と能力があること

失業保険が「2年間で12ヶ月以上」の被保険者期間を必要とするのに対し、高年齢求職者給付金は「1年間で6ヶ月以上」と短い期間で条件を満たせます。

給付日数と支給方法

高年齢求職者給付金の給付日数は、被保険者期間によって異なります。

  • 被保険者期間1年未満:基本手当日額の30日分
  • 被保険者期間1年以上:基本手当日額の50日分

失業保険が4週間ごとに分割支給されるのに対し、高年齢求職者給付金は一括でまとめて支給されます。一度の手続きで受け取れるため、ハローワークに何度も足を運ぶ必要がありません。

年金との併給が可能

高年齢求職者給付金の大きなメリットは、老齢厚生年金との同時受給ができる点です。65歳未満で失業保険を受給する場合、老齢年金の一部または全額が支給停止になりますが、高年齢求職者給付金にはこの併給調整がありません。年金を受け取りながら給付金も受け取れるため、経済的な安心感が得られます。

また、高年齢求職者給付金には年齢の上限がなく、条件を満たせば75歳・80歳であっても受給可能です。さらに、受給回数にも制限がないため、再就職後に離職した場合も条件を満たせば再度受給できます。

定年退職後の失業保険はいくらもらえる?金額の計算方法

定年退職後に失業保険を受給する場合、実際にいくらもらえるのかは大きな関心事でしょう。失業保険の受給額は「基本手当日額×所定給付日数」で計算されます。

ここでは、具体的な計算方法から給付日数の一覧表、実際のシミュレーションまで詳しく解説します。退職前に受給見込み額を把握しておくことで、定年後の資金計画を立てやすくなります。

基本手当日額の計算方法と上限額

失業保険の1日あたりの支給額である「基本手当日額」は、退職前の賃金をもとに算出されます。計算は以下の2ステップで行います。

ステップ1:賃金日額を算出する

まず、退職前6ヶ月間に支払われた賃金の合計を180で割り、「賃金日額」を算出します。

賃金日額 = 離職日以前6ヶ月間の賃金合計 ÷ 180

この「賃金」には、基本給のほか残業代・通勤手当・住宅手当などの各種手当が含まれます。ただし、賞与(ボーナス)や退職金は含まれません。

ステップ2:基本手当日額を算出する

算出した賃金日額に「給付率」を掛けて、基本手当日額を求めます。

基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(45~80%)

給付率は年齢や賃金水準によって異なり、賃金が低い方ほど高い給付率が適用される仕組みです。60歳~64歳の定年退職者の場合、給付率は45~80%の範囲で決まります。

基本手当日額の上限額・下限額(2025年8月1日以降)

基本手当日額には年齢区分ごとに上限額と下限額が設定されており、毎年8月1日に改定されます。2025年8月1日からの最新の上限額・下限額は以下のとおりです。

年齢区分賃金日額の上限基本手当日額の上限
29歳以下14,510円7,255円
30歳~44歳16,120円8,060円
45歳~59歳17,740円8,870円
60歳~64歳16,950円7,627円

※下限額は全年齢共通で2,411円

60歳~64歳で定年退職する方の場合、どれだけ高収入であっても基本手当日額は1日あたり最大7,627円までとなります。算出した金額がこの上限を超える場合は、上限額が適用されます。

定年退職者の給付日数は何日?年齢・勤続年数別一覧

失業保険を受給できる日数を「所定給付日数」といいます。定年退職は「一般の離職者」に分類されるため、給付日数は雇用保険の被保険者期間(加入期間)によって決まります。

定年退職者(一般の離職者)の所定給付日数

被保険者期間給付日数
10年未満90日
10年以上20年未満120日
20年以上150日

定年退職の場合、離職時の年齢は給付日数に影響しません。長年同じ会社に勤めていた方であれば、20年以上の被保険者期間があるケースが多いため、最大150日分の失業保険を受給できます。

なお、定年退職は倒産・解雇などの「特定受給資格者」には該当しないため、会社都合退職と比べると給付日数は短くなっています。これは、定年退職日があらかじめ決まっているため、再就職に向けた準備期間を確保しやすいという考え方に基づいています。

65歳以上で定年退職した場合の給付日数

65歳以上で定年退職した場合は、失業保険(基本手当)ではなく「高年齢求職者給付金」の対象となり、給付日数は以下のように変わります。

被保険者期間給付日数
1年未満30日分
1年以上50日分

高年齢求職者給付金は、失業保険と異なり一括で支給されます。給付日数は短くなりますが、老齢年金との併給が可能な点がメリットです。

【シミュレーション】月収30万円の場合の受給額

実際に定年退職した場合、どれくらいの失業保険を受給できるのでしょうか。ここでは、月収30万円で20年以上勤務した60歳の方を例にシミュレーションしてみます。

シミュレーション条件

  • 退職時年齢:60歳
  • 月収(各種手当込み・賞与除く):30万円
  • 雇用保険加入期間:25年

【計算ステップ1】賃金日額を算出

賃金日額 = (30万円 × 6ヶ月) ÷ 180日 賃金日額 = 180万円 ÷ 180日 = 10,000円

【計算ステップ2】基本手当日額を算出

60歳~64歳の給付率は45~80%です。賃金日額10,000円の場合、給付率は約60%程度となります(賃金日額が高いほど給付率は低くなります)。

基本手当日額 = 10,000円 × 約60% = 約6,000円

※実際の給付率は複雑な計算式で算出されるため、正確な金額はハローワークで確認してください。

【計算ステップ3】受給総額を算出

被保険者期間が25年なので、所定給付日数は150日です。

受給総額 = 6,000円 × 150日 = 約90万円

つまり、月収30万円で20年以上勤務した60歳の定年退職者は、最大約90万円の失業保険を受給できる計算になります。これを月額換算すると、約18万円(6,000円×30日)程度を最長5ヶ月間受け取れることになります。

受給額の目安早見表(60歳~64歳の定年退職者)

月収基本手当日額(目安)総額(150日の場合)
20万円約4,800円約72万円
25万円約5,400円約81万円
30万円約6,000円約90万円
35万円約6,600円約99万円
40万円以上約7,627円(上限)約114万円

※上記はあくまで目安です。実際の受給額は個人の状況によって異なります。

失業保険の正確な受給額を知りたい場合は、ハローワークの窓口で確認するか、厚生労働省やハローワークのWebサイトに掲載されている計算ツールを活用することをおすすめします。退職前に受給見込み額を把握しておくことで、定年後の生活設計をより具体的に立てることができます。

定年退職後の失業保険の手続き方法と必要書類

定年退職後に失業保険を受給するには、ハローワークでの手続きが必要です。手続きを円滑に進めるためには、必要書類を事前に準備し、手続きの流れを把握しておくことが大切です。

ここでは、ハローワークでの具体的な手続きの流れから必要書類、手続きの期限やスケジュールまで詳しく解説します。

ハローワークでの手続きの流れ【5ステップ】

定年退職後に失業保険を受給するまでの手続きは、以下の5つのステップで進めます。

【ステップ1】離職票を受け取る

退職後、まずは前の勤務先から「離職票」を受け取ります。離職票は、会社が退職日の翌日から10日以内にハローワークへ届け出ることで発行される書類です。通常は退職後1〜2週間程度で自宅に郵送されます。届いたら、記載内容(氏名・離職日・離職理由・賃金額など)に間違いがないか確認しましょう。

もし2週間以上経っても届かない場合は、会社に問い合わせるか、ハローワークに相談してください。離職票がなくても「仮手続き」が可能な場合もあります。

【ステップ2】ハローワークで求職の申込みと受給資格決定

離職票が届いたら、住所地を管轄するハローワークに出向き、以下の手続きを行います。

  1. 求職の申込み:ハローワークの端末または求職申込書で求職登録を行う
  2. 受給資格の決定:離職票と必要書類を提出し、失業保険の受給資格があるかを確認してもらう

受給資格が認められると、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が交付され、次回の認定日や雇用保険受給者初回説明会の日程が案内されます。

なお、ハローワークの手続きは平日8時30分〜17時15分ですが、混雑することが多いため16時前までの来所がおすすめです。特に4〜5月は混み合う傾向があります。

【ステップ3】7日間の待機期間を過ごす

受給資格決定日から通算7日間は「待機期間」となり、この期間中は失業保険が支給されません。待機期間は退職理由に関係なく、全員に適用されます。

待機期間中にアルバイトなどで週20時間以上働くと「就職」とみなされ、待機期間がリセットされてしまうため注意が必要です。

定年退職の場合、待機期間終了後すぐに失業保険の支給対象となります。自己都合退職のような給付制限期間(1〜2ヶ月)はありません。

【ステップ4】雇用保険受給者初回説明会に参加

待機期間中または終了後に、ハローワークで開催される「雇用保険受給者初回説明会」に参加します。説明会では以下の内容が説明されます。

  • 雇用保険制度の概要と受給の流れ
  • 失業認定申告書の書き方
  • 求職活動の方法と実績の作り方
  • 今後のスケジュール(初回認定日など)

説明会終了後、「雇用保険受給資格者証」が正式に交付されます。この書類は今後の失業認定に必ず必要になるため、大切に保管してください。

【ステップ5】失業認定日にハローワークへ出向き、失業認定を受ける

初回認定日(受給資格決定日から約4週間後)に、ハローワークへ出向いて「失業認定」を受けます。認定日には以下の書類を持参し、求職活動の状況を報告します。

  • 雇用保険受給資格者証
  • 失業認定申告書(求職活動実績を記入)

失業認定を受けると、認定日から2〜3営業日後(最長でも約1週間後)に失業保険が指定口座に振り込まれます。その後は、4週間ごとに認定日が設定され、「失業認定→受給」を繰り返しながら求職活動を続けていく流れです。

必要書類一覧と離職票の受け取り方

ハローワークで失業保険の受給手続きを行う際に必要な書類は以下のとおりです。事前にすべて揃えてから来所すると、スムーズに手続きを進められます。

ハローワークに持参する必要書類一覧

書類説明
雇用保険被保険者離職票-1、-2退職した会社から受け取る書類。受給資格の確認に必須
マイナンバーカード個人番号確認と本人確認を1枚で済ませられる。持っていない場合は下記の書類で代用
【マイナンバーカードがない場合】個人番号確認書類通知カード、または個人番号が記載された住民票(いずれか1点)
【マイナンバーカードがない場合】身元確認書類運転免許証・パスポート・官公庁発行の身分証明書など顔写真付きのもの1点、または健康保険証・年金手帳など顔写真なしのもの2点
証明写真縦3cm×横2.4cm、2枚(マイナンバーカードを提示する場合は省略可)
本人名義の預金通帳またはキャッシュカード失業保険の振込先口座として登録。家族名義の口座は不可

※一部のネット銀行や外資系金融機関は振込先に指定できない場合があります。

離職票の受け取り方

離職票は、退職時に会社へ発行を依頼しておくことが重要です。会社は退職日の翌日から10日以内にハローワークへ届け出る義務があり、その後1〜2週間程度で退職者の自宅に郵送されます。

届いた離職票は「離職票-1」と「離職票-2」の2種類があります。特に「離職票-2」には離職理由が記載されているため、自分の認識と相違がないか必ず確認してください。離職理由は給付制限の有無や給付日数に影響するため、相違がある場合はハローワークで異議申し立てが可能です。

離職票が届かない場合の対処法

2週間以上経っても届かない場合は、以下の方法で対処しましょう。

  1. 会社に問い合わせる:手続きの遅延や送付忘れの可能性がある
  2. ハローワークに相談する:会社への督促や仮手続きの案内を受けられる
  3. 仮手続きを行う:退職証明書など退職を証明できる書類があれば、離職票なしで先に手続きを進められる場合がある

仮手続きを行った場合でも、4週間後の初回認定日までには離職票を提出する必要があります。

手続きの期限と初回認定日までのスケジュール

失業保険を確実に受給するためには、手続きの期限を把握し、スケジュールどおりに進めることが重要です。

手続きの期限:離職日の翌日から1年以内

失業保険を受給できる期間(受給期間)は、原則として「離職日の翌日から1年間」と定められています。この期限を過ぎると、給付日数が残っていても受給できなくなってしまいます。

例えば、所定給付日数が150日の場合でも、手続きが遅れて受給期間の残りが100日しかなければ、100日分しか受給できません。離職票が届いたら、できるだけ早くハローワークで手続きを行いましょう。

定年退職者は「受給期間延長」も可能

60歳以上で定年退職した方は、退職後しばらく休養してから求職活動を始めたい場合、「受給期間延長申請」を行うことで受給期間を最長1年間延長できます。

  • 申請期限:退職日の翌日から2ヶ月以内
  • 申請先:住所地を管轄するハローワーク
  • 必要書類:受給期間延長申請書、離職票

延長申請を行えば、本来の受給期間1年に休養期間(最長1年)を加え、合計2年間の受給期間を確保できます。ただし、65歳以上で退職した場合に受給できる「高年齢求職者給付金」には受給期間延長制度がないため注意してください。

定年退職者の初回認定日までのスケジュール例

定年退職(会社都合扱い)の場合、給付制限がないため比較的早く失業保険を受給できます。以下は一般的なスケジュール例です。

タイミング内容
退職日会社を定年退職
退職後1〜2週間離職票が自宅に届く
離職票受取後すぐハローワークで求職申込み・受給資格決定(受給資格決定日)
受給資格決定日から7日間待機期間(失業保険は不支給)
待機期間中〜終了後雇用保険受給者初回説明会に参加
受給資格決定日から約4週間後初回認定日(ハローワークへ出向き失業認定を受ける)
初回認定日から2〜3営業日後初回の失業保険が口座に振込(約3週間分)

初回の振込額は、待機期間7日分を除いた約3週間分となります。それ以降は4週間ごとに認定日が設定され、28日分の失業保険が振り込まれます。

認定日は変更できない点に注意

失業認定日は原則として変更できません。やむを得ない理由(病気・ケガ・冠婚葬祭・採用面接など)がある場合のみ、事前にハローワークに相談すれば変更が認められることがあります。

認定日に来所しないと、その認定対象期間分の失業保険は支給されません。次回の認定日に繰り越されるわけではないため、認定日のスケジュールは最優先で確保しておきましょう。

定年退職後の失業保険に関する待機期間と給付制限

失業保険を受給する際、申請すればすぐに給付金を受け取れるわけではありません。受給開始までには「待機期間」と呼ばれる期間があり、退職理由によっては「給付制限期間」が設けられる場合もあります。

ここでは、定年退職者が知っておくべき待機期間と給付制限の仕組み、そして受給開始までの期間を短くするコツについて解説します。

7日間の待機期間とは?

「待機期間(待期期間)」とは、ハローワークで受給資格が決定した日から通算7日間、失業保険が支給されない期間のことです。この期間は退職理由に関係なく、すべての受給者に適用されます。

待機期間の目的

待機期間は、本当に失業状態にあるかどうかを確認するために設けられています。この7日間で失業の状態が継続していることを確認したうえで、給付の支給が開始される仕組みです。

待機期間の数え方

待機期間の起算日は「受給資格決定日」、つまりハローワークで求職の申込みと離職票を提出した日です。この日を含めて7日間が待機期間となります。

例えば、2025年4月1日(火)にハローワークで手続きを行った場合、待機期間は4月1日〜4月7日(月)までの7日間です。4月8日(火)から失業保険の支給対象期間となります。

待機期間中にアルバイトをすると延長される

待機期間中は「失業の状態」であることが求められます。この期間中にアルバイトなどで働くと、働いた日は待機期間としてカウントされず、待機期間が延長されてしまいます。

特に、週20時間以上の労働や31日以上の雇用見込みがある仕事に就くと「就職」とみなされ、受給資格自体が失われる可能性があるため注意が必要です。

待機期間中は求職活動や説明会への参加に専念し、就労は控えることをおすすめします。

定年退職に給付制限期間はある?

結論からお伝えすると、定年退職の場合、給付制限期間はありません。7日間の待機期間が終了すれば、すぐに失業保険の支給対象期間となります。

給付制限期間とは

給付制限期間とは、自己都合で退職した場合に、待機期間7日間に加えて設けられる追加の支給停止期間です。2025年4月の法改正により、現在は原則1ヶ月間(改正前は2ヶ月間)となっています。

この給付制限は、働く意思がありながら自らの意思で離職した人と、倒産・解雇などで退職を余儀なくされた人との公平性を保つために設けられています。

定年退職は給付制限の対象外

定年退職は、就業規則であらかじめ定められた年齢に達したことによる離職であり、「自己都合退職」とは異なる扱いを受けます。失業保険においては、定年退職は「契約期間満了」と同様に扱われるため、給付制限期間は設けられていません。

退職理由待機期間給付制限期間受給開始までの目安
定年退職7日間なし約4週間後
会社都合(倒産・解雇)7日間なし約4週間後
自己都合退職7日間原則1ヶ月約2ヶ月後
懲戒解雇等7日間3ヶ月約4ヶ月後

このように、定年退職者は自己都合退職者と比べて、約1ヶ月早く失業保険を受け取れる点がメリットです。

定年前に自己都合で退職すると給付制限がかかる

注意が必要なのは、就業規則で定められた定年年齢より前に自らの意思で退職する場合です。この場合は「自己都合退職」として扱われ、7日間の待機期間に加えて原則1ヶ月の給付制限期間が発生します。

例えば、会社の定年が65歳と定められているにもかかわらず、失業保険の給付日数を多くもらうために64歳で退職すると、自己都合退職とみなされる可能性があります。退職前に就業規則を確認し、定年退職として扱われるかどうかを会社に確認しておきましょう。

受給開始までの期間を短くするコツ

定年退職の場合、給付制限がないため比較的早く失業保険を受給できますが、さらに受給開始までの期間を短くするためのコツをご紹介します。

コツ1:離職票が届いたらすぐにハローワークへ行く

失業保険の受給開始を早めるもっとも効果的な方法は、離職票が届いたらすぐにハローワークで手続きを行うことです。待機期間は「受給資格決定日」から始まるため、手続きが早ければ早いほど、受給開始も早くなります。

離職票は通常、退職後1〜2週間で届きますが、届かない場合は会社に問い合わせるか、ハローワークで「仮手続き」を行うことも検討しましょう。

コツ2:必要書類を事前に準備しておく

ハローワークでの手続きをスムーズに進めるために、必要書類は事前にすべて揃えておきましょう。書類が不足していると手続きができず、再度来所する必要が生じてしまいます。

必要書類(再掲):

  • 離職票-1、-2
  • マイナンバーカード(または個人番号確認書類+身元確認書類)
  • 証明写真2枚(マイナンバーカード提示の場合は省略可)
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード

コツ3:求職申込みの事前登録を活用する

ハローワークインターネットサービスでは、求職申込みの事前登録が可能です。自宅で求職情報を入力しておけば、ハローワークでの手続き時間を短縮でき、よりスムーズに受給資格決定を受けられます。

コツ4:ハローワークの混雑を避ける

ハローワークは月曜日や月初、4〜5月の時期は特に混雑します。可能であれば、週の中頃や午前中の早い時間帯に来所すると、待ち時間を短縮できます。また、手続きには時間がかかるため、16時前までの来所が推奨されています。

コツ5:教育訓練を活用する(自己都合退職の場合)

これは自己都合退職の場合に有効な方法ですが、2025年4月の法改正により、離職前1年以内または離職後に厚生労働省が定める教育訓練を受講した場合、給付制限期間が解除される制度が新設されました。

自己都合で早期退職を検討している方は、在職中に教育訓練給付金の対象となる講座を受講しておくことで、退職後すぐに失業保険を受給できる可能性があります。

定年退職者の受給開始までのスケジュール目安

タイミング内容
退職後1〜2週間離職票が届く
離職票受取後すぐハローワークで手続き(受給資格決定日)
受給資格決定日から7日間待機期間
待機期間終了後失業保険の支給対象期間開始
受給資格決定日から約4週間後初回認定日
初回認定日から2〜3営業日後初回の失業保険が口座に振込

定年退職の場合、手続き開始から約1ヶ月程度で初回の失業保険を受け取れる計算になります。手続きを先延ばしにせず、早めに行動することが大切です。

定年退職後の失業保険と年金は同時にもらえる?

定年退職後の生活設計において、「失業保険と年金は同時にもらえるのか」という疑問は多くの方が抱える関心事です。結論からお伝えすると、年齢によって取り扱いが大きく異なります。

65歳未満で退職した場合、失業保険と特別支給の老齢厚生年金は原則として同時に受給できません。一方、65歳以上で退職した場合は、高年齢求職者給付金と老齢年金の併給が可能です。

ここでは、年齢別の併給ルールと、損をしないための選び方について詳しく解説します。

65歳未満は年金と失業保険の併給調整に注意

65歳未満で定年退職した場合、失業保険(基本手当)と特別支給の老齢厚生年金は同時に受給することができません。ハローワークで求職の申込みを行うと、年金の支給が停止される仕組みになっています。

併給調整の仕組み

特別支給の老齢厚生年金を受給できる方が失業保険の手続きをすると、ハローワークで求職の申込みを行った日の属する月の翌月から、失業保険の受給期間が経過するまで年金が全額支給停止となります。

例えば、4月15日に求職の申込みをした場合、5月分から年金が停止されます。失業保険の所定給付日数をすべて受給し終えた月まで、この停止は続きます。

年金が後から支給されるケース

求職の申込みをした後、実際には失業保険を受給しなかった月がある場合、その月分の年金は後日支給されます。ただし、支給されるまでに3ヶ月程度かかる点に注意が必要です。

併給調整の対象となる年金・ならない年金

年金の種類失業保険との併給
特別支給の老齢厚生年金不可(支給停止)
老齢基礎年金(繰上げ受給)可能
障害年金可能
遺族年金可能

老齢基礎年金を繰上げ受給している場合でも、老齢厚生年金部分のみが支給停止となり、老齢基礎年金は調整の対象になりません。また、障害年金や遺族年金は失業保険との併給調整がないため、同時に受給できます。

65歳未満でも両方受給する方法

65歳の誕生日の前々日までに退職し、65歳になってから失業保険の受給を開始すれば、退職前に特別支給の老齢厚生年金を受給し、退職後に失業保険を受給することが可能です。

この方法であれば、失業保険の給付日数は最大150日分(65歳未満の基本手当)を確保しながら、年金も受給できます。ただし、会社によっては65歳前の退職が自己都合扱いとなり、退職金や給付制限に影響する場合があるため、事前に就業規則を確認しておきましょう。

65歳以上は年金と高年齢求職者給付金の併給が可能

65歳以上で定年退職した場合は、高年齢求職者給付金と老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)を同時に受給できます。併給調整がないため、両方を満額で受け取ることが可能です。

高年齢求職者給付金と年金の関係

65歳以上の方が受給できる高年齢求職者給付金は、失業保険の基本手当とは異なり、老齢年金との調整がありません。年金を受給しながら、給付金も全額受け取れる点が大きなメリットです。

項目65歳未満(基本手当)65歳以上(高年齢求職者給付金)
老齢年金との併給不可(年金が停止)可能(満額受給)
給付形式4週間ごとに分割支給一括支給
最大給付日数150日50日
受給期間の延長可能(最長1年)不可

高年齢求職者給付金の注意点

高年齢求職者給付金は年金と併給できるメリットがある一方で、いくつかの注意点があります。

まず、給付日数が最大50日分と、65歳未満の基本手当(最大150日分)と比べて大幅に少なくなります。単純計算で、受給できる総額は3分の1程度になる可能性があります。

また、高年齢求職者給付金は定年退職であっても受給期間の延長ができません。離職日の翌日から1年以内に手続きを行わないと、受給できる日数が減ってしまう場合があります。手続きが遅れて失業認定から受給期間終了までの期間が短くなると、50日分すべてを受給できないこともあるため、早めにハローワークで手続きを行いましょう。

どちらを優先すべき?損しない選び方

失業保険と年金、どちらを優先すべきかは、退職時の年齢や個人の状況によって異なります。損をしないための判断基準をご紹介します。

判断基準1:退職時の年齢

退職時の年齢が65歳未満か65歳以上かで、最適な選択は大きく変わります。

退職年齢おすすめの選択
65歳未満(特別支給の老齢厚生年金あり)失業保険と年金の金額を比較して選択
65歳の誕生日直前65歳以降に失業保険を申請(両方受給可能)
65歳以上高年齢求職者給付金と年金を同時に受給

判断基準2:金額の比較

65歳未満で特別支給の老齢厚生年金を受給できる方は、失業保険と年金のどちらが多くもらえるかを比較検討しましょう。

一般的に、退職前の賃金が高かった方は、年金よりも失業保険の方が受給額が多くなるケースが多く見られます。逆に、賃金が低かった方は年金の方が有利になる場合もあります。

シミュレーション例

60歳で定年退職、月収30万円、被保険者期間25年のケースで比較してみましょう。

失業保険を選択した場合:

  • 基本手当日額:約6,000円
  • 給付日数:150日
  • 総受給額:約90万円(5ヶ月間)

特別支給の老齢厚生年金を選択した場合(仮に月額10万円として):

  • 5ヶ月間の年金:約50万円

この例では、失業保険を優先した方が約40万円多く受給できる計算になります。

判断基準3:再就職の意思

失業保険を受給するには、積極的に再就職活動を行う必要があります。4週間ごとにハローワークで失業認定を受け、求職活動の実績を報告しなければなりません。

「しばらくゆっくり休みたい」「再就職する気持ちがない」という場合は、年金を選択して受給期間延長の手続きを行い、再就職の意思が固まってから失業保険を申請する方法もあります。

損しないためのポイントまとめ

  • 65歳未満で退職予定なら、失業保険と年金の受給額を事前に試算しておく
  • 65歳直前で退職できるなら、65歳以降に失業保険を申請して両方受給を目指す
  • 65歳以上で退職するなら、高年齢求職者給付金と年金を同時に受給する
  • 判断に迷ったら、ハローワークや年金事務所で相談する

退職のタイミングや選択によって、受給できる金額は数十万円単位で変わることがあります。自分の状況に合った最適な選択ができるよう、早めに情報収集と試算を行っておくことをおすすめします。

まとめ:定年退職後は早めの手続きで失業保険を確実に受給しよう

定年退職後の失業保険について、受給条件から手続き方法、金額の計算方法まで詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントを振り返っておきましょう。

定年退職後の生活を安定させるためにも、失業保険の制度を正しく理解し、確実に受給できるよう早めの準備と手続きを心がけましょう。

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この記事を書いた人

木本旭洋のアバター 木本旭洋 株式会社イールドマーケティング代表取締役

株式会社イールドマーケティング代表。大手広告代理店でアカウントプランナー、スタートアップで広告部門のマネージャーを経験後、2022年に当社を創業。バックオフィス部門も統括。総務、労務にも精通している。

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