再就職手当とは、失業手当の受給資格がある方が早期に再就職した場合に受け取れる給付金です。
この記事では、再就職手当の受給条件や計算方法、申請の流れ、メリット・デメリットまでわかりやすく解説します。もらわない方がいいケースについても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
再就職手当とは?失業手当との違いを解説

再就職手当は、失業中の方が早期に新しい仕事を見つけた際に受け取れる「就職祝い金」のような給付金です。
失業手当を受給している方の中には「せっかくもらえる手当があるなら、ギリギリまで受け取った方が得なのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、早期に再就職することで受け取れる再就職手当は、まとまった金額を一括で受給できるため、うまく活用すれば非常にお得な制度です。
ここでは、再就職手当の基本的な仕組みや目的、失業手当との違いについて詳しく解説します。
再就職手当の概要と目的
再就職手当とは、雇用保険の「就業促進給付」のひとつで、失業手当(基本手当)の受給資格がある方が、所定給付日数を一定以上残して早期に安定した職業に就いた場合に支給される給付金です。
この制度の目的は、失業者の早期再就職を促進することにあります。失業手当をすべて受け取ってから就職するよりも、早く再就職した方がメリットがあるという仕組みを設けることで、失業期間の短縮と労働市場の活性化を図っています。
再就職手当の大きな特徴は、再就職のタイミングが早ければ早いほど、受け取れる金額が多くなる点です。具体的には、失業手当の所定給付日数の3分の2以上を残して就職した場合は支給残日数の70%、3分の1以上を残した場合は60%が支給されます。
また、再就職手当は非課税のため、受給額がそのまま手取りとして受け取れます。所得税や住民税がかからないので、再就職直後の生活資金として有効活用できるでしょう。
失業手当との違いを比較
再就職手当と失業手当は、どちらも雇用保険から支給される給付金ですが、支給の目的とタイミングが大きく異なります。
失業手当(基本手当)は、離職後に収入が途絶えた期間の生活を安定させ、安心して求職活動を行えるようにするための給付金です。失業状態が続いている間、所定の認定日ごとに支給されます。支給期間は離職理由や被保険者期間、年齢によって90日〜330日の範囲で決まります。
一方、再就職手当は、失業手当の受給期間中に早期に再就職した方への「報奨金」という位置づけです。再就職が決まった時点で、残りの失業手当の一部を一括で受け取れる仕組みになっています。
両者の違いを表でまとめると、以下のとおりです。
| 項目 | 失業手当 | 再就職手当 |
|---|---|---|
| 支給目的 | 失業中の生活安定 | 早期再就職の促進 |
| 支給タイミング | 失業期間中に定期支給 | 再就職後に一括支給 |
| 支給方法 | 認定日ごとに分割 | 一時金として一括 |
| 課税 | 非課税 | 非課税 |
なお、失業手当と再就職手当を同時に受給することはできません。再就職手当を受け取ると、その時点で失業手当の給付は終了となります。
再就職手当をもらうための8つの条件

再就職手当は、早期に再就職した方全員がもらえるわけではありません。受給するためには、厚生労働省が定めた8つの条件をすべて満たす必要があります。
ひとつでも条件を満たしていないと支給対象外となってしまうため、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。ここでは、再就職手当を受給するために必要な8つの条件について、それぞれ詳しく解説します。
7日間の待期期間満了後に就職すること
再就職手当を受給するには、失業保険の受給手続き後に設けられる7日間の「待期期間」が終わってから就職する必要があります。
待期期間とは、ハローワークで求職の申し込みをした日から数えて7日間のことで、この期間は失業状態であることを確認するために設けられています。待期期間中は失業手当も支給されず、この期間に就職が決まった場合は再就職手当の対象外となります。
注意すべき点として、待期期間中に仕事をしたり、アルバイトをしたりして失業状態でなかった日がある場合は、その日数分だけ待期期間が延長されます。たとえば、待期期間中に2日間アルバイトをした場合、待期期間は9日間に延びることになります。
再就職手当を確実に受け取りたい方は、待期期間の7日間は仕事をせず、失業状態を維持するようにしましょう。
支給残日数が3分の1以上残っていること
再就職手当を受け取るためには、就職日の前日時点で失業手当の「支給残日数」が所定給付日数の3分の1以上残っている必要があります。
所定給付日数とは、失業手当を受給できる日数の上限のことで、離職理由や雇用保険の被保険者期間、年齢によって90日〜330日の範囲で決まります。支給残日数とは、所定給付日数から就職日前日までにすでに支給された日数を差し引いた残りの日数です。
たとえば、所定給付日数が90日の方の場合、支給残日数が30日以上(90日×1/3)残っていれば再就職手当の対象となります。逆に、支給残日数が29日以下になってしまうと、再就職手当は受給できません。
また、支給残日数が多いほど受け取れる金額も多くなります。所定給付日数の3分の2以上を残して就職した場合は支給率70%、3分の1以上を残した場合は支給率60%が適用されます。早めに再就職するほどお得になる仕組みです。
離職前の会社への再就職でないこと
再就職手当は、離職した前の会社に再び就職した場合は支給されません。これは、再就職手当の不正受給を防ぐための条件です。
また、前の会社と資本・資金・人事・取引面で密接な関わりがある会社に就職した場合も、条件を満たさないとみなされる可能性があります。具体的には、以下のようなケースが該当します。
- 離職した会社のグループ会社・子会社に就職する場合
- 離職した会社の取引先で、人事交流があった会社に就職する場合
- 離職した会社の代表者が経営する別会社に就職する場合
再就職先が前の会社と関係がないことを証明するため、申請時には就職先の資本関係や取引関係について確認されることがあります。判断に迷う場合は、事前にハローワークに相談しておくと安心です。
1年以上の継続雇用が見込まれること
再就職手当を受給するには、再就職先で1年を超えて継続して雇用されることが確実と見込まれる必要があります。
「1年を超えて」とは、雇用期間が1年以上ではなく、1年を超えることがポイントです。たとえば、契約期間が「1年間」の契約社員の場合でも、契約更新によって1年を超える勤務が見込まれれば条件を満たします。
一方、以下のようなケースでは対象外となります。
- 契約期間が1年以下で、更新の見込みがない場合
- 短期派遣や日雇い契約の場合
- 試用期間後に雇用継続が保証されていない場合
ただし、試用期間がある会社であっても、試用期間終了後に1年を超えて雇用される見込みがあれば問題ありません。不安な場合は、再就職先に雇用条件を確認し、契約書や労働条件通知書の内容をチェックしておきましょう。
雇用保険に加入する雇用形態であること
再就職手当の受給条件として、再就職先で雇用保険の被保険者資格を取得できる雇用条件であることが求められます。
雇用保険に加入するためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 31日以上の雇用見込みがあること
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
つまり、週20時間未満のパートや、31日未満の短期アルバイトなど、雇用保険の適用外となる働き方では再就職手当を受け取ることができません。
正社員はもちろん、契約社員や派遣社員、一定の条件を満たすパート・アルバイトであれば雇用保険に加入できます。再就職先の雇用形態や労働時間を確認し、雇用保険に加入できるかどうかを事前にチェックしておきましょう。
過去3年以内に再就職手当を受けていないこと
再就職手当は、就職日以前の3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給していないことが条件となります。
この条件は、短期間で離職と就職を繰り返して何度も手当を受け取る「不正受給」を防ぐために設けられています。一度再就職手当をもらうと、そこから3年間は再び再就職手当を受給することができません。
たとえば、2025年4月1日に再就職手当を受給した場合、次に再就職手当をもらえるのは2028年4月2日以降の就職となります。2028年4月1日までに再就職した場合は、条件を満たさないため支給対象外です。
そのため、再就職先を長く続ける自信がない場合や、短期間で転職する可能性がある場合は、今回の申請を見送って次回に備えるという選択肢もあります。自分の状況に合わせて判断しましょう。
受給資格決定前に内定がないこと
再就職手当は、ハローワークで受給資格の決定(求職申し込み)を受ける前に、すでに採用が内定していた会社に就職する場合は支給されません。
この条件は、退職時点ですでに次の就職先が決まっているケースを対象外とするものです。再就職手当は「失業状態から早期に再就職した方」を支援する制度であるため、そもそも失業状態にならない方は対象外となります。
具体的には、以下のようなケースが該当します。
- 退職前に転職活動を行い、退職日までに内定をもらっていた場合
- ハローワークに求職申し込みをする前に、知人の紹介で就職が決まっていた場合
- 受給資格決定前に面接を受け、その後に採用が決定した場合
ハローワークでの求職申し込み後に就職活動を行い、その結果として採用が決まった場合のみ、再就職手当の対象となります。
給付制限中は紹介元に条件あり
自己都合退職などにより給付制限期間がある方は、待期期間満了後の最初の1か月間については、就職先の紹介元に制限があります。
給付制限とは、自己都合退職の場合に失業手当が支給されない期間のことで、2025年4月以降は原則1か月間となっています(過去5年以内に2回以上の自己都合退職がある場合は3か月間)。
この給付制限期間中の最初の1か月間に就職する場合、再就職手当を受給するには以下のいずれかの紹介によって就職する必要があります。
- ハローワーク(公共職業安定所)からの紹介
- 厚生労働大臣の許可・届出を受けた職業紹介事業者からの紹介
つまり、給付制限期間の最初の1か月間に、転職サイトからの自己応募や知人の紹介で就職した場合は、再就職手当の対象外となってしまいます。
ただし、給付制限期間の1か月を過ぎた後であれば、紹介元の制限はなくなります。自己応募でも、友人・知人の紹介でも、再就職手当を受給できます。
会社都合退職など給付制限がない方については、この条件は適用されません。どのような方法で就職先を見つけても、他の条件を満たしていれば再就職手当を受給できます。
再就職手当はいくらもらえる?計算方法を解説

再就職手当を申請する前に、「実際にいくらもらえるのか」を把握しておきたい方は多いでしょう。再就職手当の支給額は、失業手当の基本手当日額と支給残日数、そして支給率によって決まります。
計算方法自体はシンプルですが、支給率が再就職のタイミングによって変わる点や、基本手当日額に上限がある点など、知っておくべきポイントがいくつかあります。
ここでは、再就職手当の計算式と具体的なシミュレーション例を紹介しますので、ご自身がいくら受け取れるのか確認してみてください。
支給額の計算式と支給率
再就職手当の支給額は、以下の計算式で算出します。
再就職手当 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 支給率(60%または70%)
それぞれの用語の意味は以下のとおりです。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 基本手当日額 | 失業手当として1日あたりに支給される金額 |
| 支給残日数 | 所定給付日数から、就職日前日までに経過した日数を差し引いた残りの日数 |
| 支給率 | 支給残日数に応じて60%または70%が適用される |
支給率は、所定給付日数のうちどれだけの日数を残して再就職したかによって決まります。早く就職するほど支給率が高くなり、受け取れる金額も多くなる仕組みです。
支給残日数3分の2以上なら70%
所定給付日数の3分の2以上を残して再就職した場合、支給率は70%が適用されます。
たとえば、所定給付日数が90日の方であれば、支給残日数が60日以上(90日×2/3)残っている状態で就職すれば70%の支給率となります。所定給付日数が120日の方なら80日以上、180日の方なら120日以上が目安です。
70%の支給率が適用されるのは、失業手当の受給開始からかなり早い段階で再就職が決まったケースです。給付制限期間中や、失業認定を1〜2回受けた程度の時期に就職が決まれば、多くの場合70%の支給率が適用されるでしょう。
支給残日数3分の1以上なら60%
所定給付日数の3分の1以上、3分の2未満を残して再就職した場合、支給率は60%が適用されます。
所定給付日数が90日の方であれば、支給残日数が30日以上60日未満の状態で就職した場合が該当します。失業手当をある程度受け取った後に再就職が決まったケースです。
なお、支給残日数が所定給付日数の3分の1未満になってしまうと、再就職手当の受給資格を失います。たとえば所定給付日数90日の方が、支給残日数29日以下で就職した場合は再就職手当を受け取ることができません。
再就職手当を受給したい方は、支給残日数が3分の1を切る前に就職先を決めることを意識しておきましょう。
基本手当日額の上限に注意
再就職手当を計算する際に注意すべき点として、基本手当日額には上限額が設定されています。
離職前の給与が高かった方であっても、再就職手当の計算に使われる基本手当日額は上限額までしか適用されません。2025年8月1日以降の上限額は以下のとおりです。
| 離職時の年齢 | 基本手当日額の上限 |
|---|---|
| 60歳未満 | 6,570円 |
| 60歳以上65歳未満 | 5,310円 |
※上限額は毎年8月1日に「毎月勤労統計」の平均給与額によって改定されます
たとえば、離職前の給与から計算した基本手当日額が8,000円だったとしても、再就職手当の計算では上限の6,570円(60歳未満の場合)が適用されます。
基本手当日額は、ハローワークから交付される「雇用保険受給資格者証」に記載されています。ご自身の基本手当日額を確認したい場合は、受給資格者証をチェックしてみてください。
具体的なシミュレーション例
ここでは、具体的な条件を設定して再就職手当の支給額をシミュレーションしてみましょう。
【ケース1】早期に再就職が決まった場合(支給率70%)
- 基本手当日額:5,000円
- 所定給付日数:90日
- 支給残日数:80日(所定給付日数の3分の2以上)
- 支給率:70%
計算式 5,000円 × 80日 × 70% = 280,000円
失業手当を10日分しか受け取っていない段階で再就職が決まった場合、28万円の再就職手当を一括で受け取れます。
【ケース2】失業手当をある程度受給した後に再就職した場合(支給率60%)
- 基本手当日額:5,000円
- 所定給付日数:90日
- 支給残日数:40日(所定給付日数の3分の1以上、3分の2未満)
- 支給率:60%
計算式 5,000円 × 40日 × 60% = 120,000円
失業手当を50日分受け取った後に再就職した場合、再就職手当は12万円となります。ケース1と比較すると16万円の差があり、早期に就職するほど有利であることがわかります。
【ケース3】所定給付日数が長い場合(支給率70%)
- 基本手当日額:6,000円
- 所定給付日数:180日
- 支給残日数:150日(所定給付日数の3分の2以上)
- 支給率:70%
計算式 6,000円 × 150日 × 70% = 630,000円
所定給付日数が長い方が早期に再就職した場合、60万円を超える再就職手当を受け取れる可能性があります。会社都合退職などで所定給付日数が長く設定されている方は、早めに再就職することで大きなメリットが得られます。
【ケース4】基本手当日額が上限を超えている場合
- 離職前の給与から算出した基本手当日額:8,000円
- 再就職手当の計算に適用される上限額:6,570円(60歳未満)
- 所定給付日数:120日
- 支給残日数:100日(所定給付日数の3分の2以上)
- 支給率:70%
計算式 6,570円 × 100日 × 70% = 459,900円
基本手当日額が上限を超えている場合、上限額で計算されます。離職前の給与が高かった方は、思ったより少ないと感じるかもしれませんが、それでも約46万円のまとまった金額を受け取れます。
このように、再就職手当は再就職のタイミングや所定給付日数によって金額が大きく変わります。ご自身の条件を当てはめて、おおよその支給額を把握しておくと、再就職のタイミングを検討する際の参考になるでしょう。
再就職手当はいつもらえる?申請の流れ

再就職が決まり、再就職手当の受給条件を満たしている場合、次に気になるのは「いつ、どのように申請すればもらえるのか」という点ではないでしょうか。
再就職手当は自動的に振り込まれるものではなく、自分で申請手続きを行う必要があります。申請には期限があり、必要書類を揃えてハローワークに提出しなければなりません。
ここでは、再就職手当の申請から振り込みまでの流れを、ステップごとにわかりやすく解説します。スムーズに手当を受け取るためにも、事前に流れを把握しておきましょう。
就職決定後にハローワークへ報告
再就職が決まったら、まずはハローワークに就職が決まったことを報告します。この報告は、就職日(入社日)の前日までに行うのが基本です。
ハローワークへの報告時には、以下の書類を持参しましょう。
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書
- 採用証明書(後述)
報告の際、ハローワークの担当者が再就職手当の受給条件を満たしているかを確認します。条件を満たしていれば、「再就職手当支給申請書」が交付されます。
なお、就職日前日までにハローワークへ行けない場合は、事前に電話で相談しておくと対応方法を教えてもらえます。報告が遅れると手続き全体に影響するため、内定が決まったら早めに連絡することをおすすめします。
採用証明書を再就職先に記入してもらう
採用証明書は、再就職先に就職が決まったことを証明するための書類です。ハローワークで失業手当の受給手続きをした際に渡される「雇用保険受給資格者のしおり」に同封されています。
採用証明書には、自分で記入する欄と再就職先の企業に記入してもらう欄があります。
自分で記入する項目
- 支給番号
- 氏名
- 住所
再就職先に記入してもらう項目
- 事業所名・所在地
- 採用年月日
- 雇用形態・雇用期間
- 職種・業務内容
- 事業主の証明印
内定が決まったら、できるだけ早く再就職先に採用証明書の記入を依頼しましょう。企業によっては記入に時間がかかる場合もあるため、入社前に余裕を持って依頼しておくとスムーズです。
もし採用証明書を紛失してしまった場合は、ハローワークの窓口で再発行してもらうか、ハローワークのホームページからダウンロードすることも可能です。
再就職手当支給申請書を提出する
就職後、再就職手当の支給を受けるためには「再就職手当支給申請書」をハローワークに提出する必要があります。
再就職手当支給申請書は、就職の報告時にハローワークから交付されます。この申請書にも、自分で記入する欄と再就職先に記入・証明してもらう欄があります。
再就職先に記入してもらう主な項目
- 雇用開始日
- 雇用期間(1年を超える見込みがあるか)
- 雇用保険の加入状況
- 離職前の会社との関係がないことの証明
- 事業主の署名・押印
再就職先に必要事項を記入してもらったら、以下の書類と一緒にハローワークへ提出します。
提出書類一覧
- 再就職手当支給申請書(再就職先の証明入り)
- 雇用保険受給資格者証
提出方法は、ハローワーク窓口への持参のほか、郵送や代理人による提出も可能です。代理人が提出する場合は委任状が必要となります。
また、電子申請による届出にも対応しているため、詳しくは最寄りのハローワークに問い合わせてみてください。
申請から振り込みまで約1〜2か月
再就職手当支給申請書を提出した後、ハローワークで審査が行われます。審査に通過すると「再就職手当支給決定通知書」が届き、その後1週間程度で指定した口座に振り込まれます。
振り込みまでの目安
| ステップ | 期間の目安 |
|---|---|
| 申請書提出 | - |
| ハローワークでの審査 | 約1か月〜1か月半 |
| 支給決定通知書の送付 | 審査完了後 |
| 口座への振り込み | 通知書到着から約1週間 |
つまり、申請から振り込みまでトータルで約1〜2か月かかると考えておきましょう。審査状況や提出書類の不備などによっては、さらに時間がかかる場合もあります。
再就職手当支給決定通知書がなかなか届かない場合は、審査に時間を要している可能性があります。申請から2か月以上経っても通知が届かない場合は、ハローワークに問い合わせて状況を確認してみてください。
なお、審査の結果、受給条件を満たしていないと判断された場合は「不支給決定通知書」が届きます。不支給となった場合でも、その理由を確認し、条件を満たしていれば再申請できる場合もあります。
申請期限は就職翌日から原則1か月以内
再就職手当の申請期限は、再就職した日(入社日)の翌日から原則1か月以内です。この期限を過ぎてしまうと、原則として再就職手当を受け取ることができなくなります。
再就職直後は新しい職場での業務に追われ、手続きを後回しにしてしまいがちです。しかし、申請には再就職先に書類を記入してもらう必要があり、時間がかかることもあります。入社したらできるだけ早く手続きを進めましょう。
申請期限に関する注意点
- 申請書の提出期限:就職日の翌日から1か月以内が原則
- 再就職先への書類依頼:入社後すぐに依頼するのがベスト
- 郵送の場合:到着日ではなく消印日が期限内であればOK
ただし、1か月の期限を過ぎてしまった場合でも、完全に諦める必要はありません。雇用保険の給付には2年間の時効が設けられているため、就職日の翌日から2年以内であれば申請が認められる可能性があります。
期限を過ぎてしまった場合は、まずハローワークに連絡して事情を説明しましょう。やむを得ない理由があれば、遅れて申請しても受理されるケースがあります。ただし、審査に通常より時間がかかったり、支給が遅れたりする可能性があるため、できる限り期限内に申請することをおすすめします。
再就職手当のメリット・デメリットを比較

再就職手当は早期に再就職した方を支援する制度ですが、受給することが必ずしも全員にとってベストな選択とは限りません。メリットがある一方で、状況によってはデメリットとなるケースもあります。
「再就職手当をもらうべきか迷っている」「本当にもらった方が得なのか知りたい」という方のために、ここでは再就職手当を受給するメリットとデメリットを詳しく比較します。
ご自身の状況と照らし合わせながら、申請するかどうかの判断材料にしてください。
再就職手当を受給する3つのメリット
まずは、再就職手当を受給することで得られる3つのメリットを紹介します。
まとまった一時金を受け取れる
再就職手当の最大のメリットは、まとまった金額を一括で受け取れることです。
失業手当は認定日ごとに分割で支給されますが、再就職手当は条件を満たせば数十万円単位の金額が一度に振り込まれます。前述のシミュレーションでも紹介したとおり、条件によっては60万円を超える金額を受け取れるケースもあります。
この一時金は、再就職に伴うさまざまな出費に充てることができます。
- 通勤用のスーツや靴、カバンなどの購入費用
- 引っ越しが必要な場合の費用
- 新生活のスタートに向けた生活費の補填
- 資格取得やスキルアップのための自己投資
- 将来に備えた貯蓄
再就職直後は給与の支給日まで収入がない期間が生じることもあります。そんなときに再就職手当というまとまった資金があれば、経済的な不安を軽減し、新しい仕事に集中できる環境を整えられるでしょう。
非課税で手取りがそのまま受け取れる
再就職手当は非課税扱いとなるため、受給額がそのまま手取りとして受け取れます。所得税や住民税がかからないのは大きなメリットです。
たとえば、再就職手当として30万円が支給された場合、30万円がそのまま口座に振り込まれます。給与のように税金が差し引かれることはありません。
また、再就職手当は所得税の計算における収入にも含まれないため、年末調整や確定申告で申告する必要もありません。配偶者の扶養に入っている方にとっても、扶養判定の際の収入には含まれません。
ただし、社会保険の扶養判定については注意が必要です。健康保険の被扶養者の要件である「年間収入130万円未満」を判定する際には、再就職手当の金額も収入として含まれる場合があります。扶養の範囲内で働きたい方は、事前に確認しておきましょう。
早期就職で収入が安定する
再就職手当を目指して早期に就職することで、トータルの収入が安定するというメリットもあります。
失業手当を満額受給しようとすると、その間は離職前の給与より低い金額で生活することになります。失業手当の支給額は離職前の賃金の約50〜80%程度であり、さらにボーナスや各種手当は考慮されません。
一方、早期に再就職すれば、再就職先からの給与に加えて再就職手当も受け取れます。結果として、失業手当を最後まで受け取るよりも、早く就職して働いた方が収入面で有利になるケースが多いのです。
また、失業期間が長引くと、職歴にブランクが生じてしまいます。ブランクが長くなると、次の転職活動で不利になる可能性もあります。早期に再就職することで、キャリアの空白期間を最小限に抑えられる点も見逃せないメリットです。
再就職手当を受給するデメリット・注意点
続いて、再就職手当を受給する際に知っておくべきデメリットや注意点を解説します。
失業手当を満額受給できない
再就職手当を受け取ると、その時点で失業手当の支給は終了します。つまり、失業手当を所定給付日数の最後まで受け取ることができなくなります。
再就職手当の支給率は、支給残日数の60%または70%です。言い換えると、失業手当として受け取れるはずだった金額の30〜40%は受け取れないことになります。
たとえば、支給残日数が60日、基本手当日額が5,000円の場合を考えてみましょう。
- 失業手当を満額受給した場合:5,000円 × 60日 = 300,000円
- 再就職手当を受給した場合(70%):5,000円 × 60日 × 70% = 210,000円
- 差額:90,000円
このように、金額だけを比較すると失業手当を満額もらった方が多くなります。ただし、失業手当を受け取り続けるためには失業状態を維持する必要があり、その間は収入が限られます。
実際には、早期に再就職して給与を得た方がトータルの収入は多くなるケースがほとんどです。単純な金額比較だけでなく、再就職後の給与収入も含めて総合的に判断することが大切です。
3年間は再就職手当を再受給できない
再就職手当を一度受給すると、そこから3年間は再び再就職手当を受け取ることができません。
これは、短期間で離職と就職を繰り返して何度も手当を受給することを防ぐためのルールです。もし再就職先を3年以内に退職し、再び失業手当を受給しながら転職活動をすることになった場合でも、次の就職では再就職手当を受け取れません。
そのため、以下のような方は今回の申請を慎重に検討する必要があります。
- 再就職先が自分に合うか不安がある
- 短期間で転職する可能性を考えている
- 業界や職種を変えるため、続けられるか自信がない
今は経済的に余裕があり、次回の転職時に再就職手当を活用したいと考えるなら、あえて今回は申請せずに「3年に1度しか使えない権利」を温存しておくという選択肢もあります。
短期離職すると損になる場合も
再就職手当を受給した後、短期間で再就職先を退職してしまった場合、結果的に損をしてしまう可能性があります。
再就職手当を受け取ると、その分の失業手当を受給したものとみなされます。もし再就職先を短期間で辞めて再び失業状態になった場合、前回の失業手当の受給資格が残っていれば再開できますが、再就職手当で受け取った分は差し引かれた状態になります。
また、再就職先での雇用保険の加入期間が12か月未満(特定受給資格者等は6か月未満)で離職した場合、新たな失業手当の受給資格を得ることができません。再就職手当を受け取った上に、次の失業手当ももらえないという状況に陥る可能性があります。
さらに、前述のとおり3年間は再就職手当を受給できないため、次の就職時には再就職手当による経済的サポートを受けられません。
このように、短期離職のリスクがある場合は、再就職手当の申請を見送った方が結果的に有利になるケースもあります。再就職先で長く働き続けられるかどうかを見極めた上で、申請するかどうかを判断しましょう。
再就職手当をもらわない方がいいケースとは

再就職手当は早期に再就職した方にとって心強い制度ですが、状況によっては「もらわない方がいい」という選択が合理的な場合もあります。
再就職手当は一度受給すると3年間は再受給できないため、タイミングを間違えると次の転職時に不利になる可能性があります。また、受給額が少額の場合は、あえて申請しないという判断も十分にあり得ます。
ここでは、再就職手当をもらわない方がいい3つのケースを具体的に解説します。ご自身の状況と照らし合わせて、申請すべきかどうかの判断にお役立てください。
短期間で再離職する可能性が高い場合
再就職先を長く続けられる自信がない場合は、再就職手当の申請を見送った方がいいケースがあります。
再就職手当には「3年ルール」があり、一度受給するとそこから3年間は再び受給することができません。もし再就職手当をもらった後に短期間で退職し、その後また転職することになった場合、次の就職では再就職手当を受け取れないのです。
以下のような状況に該当する方は、慎重に検討することをおすすめします。
- 入社前から職場環境や仕事内容に不安を感じている
- 未経験の業界・職種へのチャレンジで続けられるか自信がない
- 契約社員や派遣社員として入社し、正社員登用されるか不透明
- 会社の経営状況や将来性に懸念がある
- 家庭の事情などで働き続けられなくなる可能性がある
今回の再就職が不安定な状況であれば、再就職手当を温存しておき、次に安定した就職先が見つかったときに受給するという選択肢もあります。
特に、現時点で経済的に余裕がある方は、無理に今回申請する必要はありません。3年に1度しか使えない貴重な権利を、より有効に活用できるタイミングまで残しておくことも賢い判断といえるでしょう。
じっくり転職活動したい場合
再就職手当を意識するあまり、焦って転職先を決めてしまうのは本末転倒です。じっくりと時間をかけて自分に合った仕事を探したい方は、再就職手当にこだわらない方がいい場合があります。
再就職手当は、支給残日数が多いほど支給率が高くなる仕組みです。そのため、「早く就職しないと損になる」というプレッシャーを感じてしまう方もいるかもしれません。しかし、焦って就職先を決めた結果、ミスマッチで早期離職してしまっては元も子もありません。
以下のような希望がある方は、再就職手当よりも転職活動の質を優先した方がいいでしょう。
- キャリアチェンジを考えており、時間をかけて業界研究をしたい
- 資格取得やスキルアップの勉強をしてから就職したい
- 複数の企業を比較検討し、納得のいく会社を選びたい
- 心身を休めてからリフレッシュした状態で働き始めたい
- 失業期間を利用して自己分析を深めたい
失業手当は最長で330日間(離職理由や年齢などによる)支給されます。その期間をフルに活用して、自分に最適な仕事を見つけることに集中するのも立派な選択です。
再就職手当をもらうために妥協して就職するよりも、たとえ時間がかかっても自分に合った会社に出会う方が、長い目で見れば収入面でもキャリア面でもプラスになる可能性が高いでしょう。
給付日数の残りが少なく金額が小さい場合
支給残日数が少なく、受け取れる再就職手当の金額が小さい場合は、申請するメリットが薄いケースがあります。
再就職手当の計算式は「基本手当日額 × 支給残日数 × 支給率(60%または70%)」です。支給残日数が少ないと、受給額も当然小さくなります。
たとえば、以下のようなケースを考えてみましょう。
支給残日数が少ないケース
- 基本手当日額:5,000円
- 支給残日数:35日(所定給付日数90日の3分の1をギリギリ超えた状態)
- 支給率:60%
計算結果 5,000円 × 35日 × 60% = 105,000円
この場合、再就職手当として約10万円を受け取れます。決して少なくない金額ではありますが、この10万円のために「3年間再受給できない」という制限がかかることを考えると、申請を見送る選択も合理的です。
さらに支給残日数が少ない場合は、受給額がさらに小さくなります。
支給残日数がさらに少ないケース
- 基本手当日額:4,500円
- 支給残日数:32日
- 支給率:60%
計算結果 4,500円 × 32日 × 60% = 86,400円
約8万円程度の金額であれば、今回は申請せずに次回の転職に備えるという判断も十分にあり得ます。
再就職手当を申請しなくても、特にペナルティはありません。受給履歴も残らないため、次回の転職で再就職手当を受け取る権利をそのまま温存できます。
目安として、受給額が10万円を下回るような場合は、以下の点を考慮して申請するかどうかを決めるとよいでしょう。
- 今後3年以内に再び転職する可能性はあるか
- 次の転職時に再就職手当を活用したい状況になりそうか
- 現時点での経済状況で、少額でも受け取った方が助かるか
これらを総合的に判断し、ご自身にとって最もメリットのある選択をしてください。迷った場合は、ハローワークの窓口で相談してみることをおすすめします。
まとめ:再就職手当を活用して早期再就職を実現しよう

再就職手当は、失業手当の受給資格がある方が早期に再就職した場合に受け取れる給付金です。早く就職するほど支給率が高くなり、まとまった金額を一括で受け取れるため、再就職後の生活を安定させる大きな助けとなります。
再就職先が決まり、条件を満たしている方は、ぜひ再就職手当を活用して新しいスタートを切りましょう。申請方法や受給条件について不明な点があれば、最寄りのハローワークに相談することをおすすめします。
