この記事では、退職後にやるべき手続きを期限別・届出先別にわかりやすく解説します。必要書類や届出の流れも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
退職後にやることリスト|必要な手続き一覧

退職すると、これまで会社が代行してくれていた社会保険や税金の手続きを自分で行う必要があります。主な手続きには「健康保険」「年金」「雇用保険(失業保険)」「住民税」「確定申告」の5つがあり、それぞれ期限が定められています。
手続きを怠ると、医療費が全額自己負担になったり、将来の年金受給額に影響が出たりする可能性があるため、退職後は速やかに対応することが大切です。
以下では、退職後に必要な5つの手続きについて、期限や届出先、必要書類を詳しく解説します。
健康保険の切り替え手続き
退職すると、会社の健康保険の資格は退職日の翌日に喪失します。日本では国民皆保険制度により、すべての国民が何らかの健康保険に加入する義務があるため、退職後は速やかに切り替え手続きを行いましょう。
退職後の健康保険には、次の3つの選択肢があります。
1. 国民健康保険に加入する
市区町村が運営する健康保険で、退職後14日以内に住所地の役所で手続きを行います。
必要書類は以下のとおりです。
- 健康保険資格喪失証明書(離職票は不可)
- マイナンバーカードまたは本人確認書類
- 印鑑
保険料は前年の所得や世帯人数によって決まるため、退職前の収入が高い場合は割高になることもあります。
2. 任意継続被保険者制度を利用する
退職前の健康保険を最大2年間継続できる制度です。退職日の翌日から20日以内に、加入していた健康保険の保険者(協会けんぽまたは健康保険組合)に申請します。
利用条件として、退職前に継続して2か月以上の被保険者期間が必要です。保険料は全額自己負担となり、在職中の約2倍になりますが、扶養家族も追加保険料なしで加入できるメリットがあります。
3. 家族の健康保険の扶養に入る
配偶者など家族が会社の健康保険に加入している場合、扶養に入ることで保険料の負担なく健康保険に加入できます。年収130万円未満であることが条件です。
どの選択肢が最も有利かは、前年の所得や家族構成によって異なります。国民健康保険料は市区町村役場で試算してもらえるため、任意継続と比較して決めるとよいでしょう。
年金の種別変更手続き
会社員として厚生年金に加入していた方は、退職後に国民年金への切り替え手続きが必要です。60歳未満で退職した場合、退職日の翌日から14日以内に住所地の市区町村役所で届出を行います。
必要書類
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
- 退職日がわかる書類(離職票、退職証明書など)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
また、退職者に扶養されていた配偶者(国民年金第3号被保険者)も、第1号被保険者への切り替え手続きが必要です。
なお、退職後に経済的な理由で保険料の支払いが困難な場合は、「保険料免除制度」や「納付猶予制度」を利用できます。これらの制度を活用すれば、将来の年金受給資格を維持しながら、保険料の負担を軽減できます。
転職先がすでに決まっている場合は、転職先の会社が厚生年金への加入手続きを行ってくれるため、自分で国民年金の手続きをする必要はありません。ただし、転職までに空白期間がある場合は、その期間だけ国民年金に加入する必要があります。
雇用保険(失業保険)の申請
退職後に転職活動を行う場合や、すぐに再就職しない場合は、雇用保険の基本手当(失業保険)を受給できる可能性があります。受給手続きは、住所地を管轄するハローワークで行います。
受給条件
- 離職日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あること
- ハローワークで求職の申込みを行い、就職しようとする意思と能力があること
- 失業状態にあること(就職できない状態)
倒産や解雇など会社都合での退職の場合は、離職日以前1年間に被保険者期間が6か月以上あれば受給資格を得られます。
手続きに必要な書類
- 雇用保険被保険者離職票(1・2)
- マイナンバーカードまたは個人番号確認書類と身元確認書類
- 写真2枚(縦3cm×横2.4cm、マイナンバーカード提示の場合は省略可)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
手続きの流れ
- ハローワークで求職申込みと離職票を提出
- 受給資格の決定後、雇用保険受給者初回説明会に参加
- 7日間の待期期間を経過
- 4週間に1度の失業認定を受ける
- 失業認定後、約1週間で基本手当が振り込まれる
自己都合退職の場合は、待期期間7日間に加えて原則2か月間の給付制限期間があります。この期間中は基本手当を受け取れないため、生活費の準備が必要です。
なお、失業保険の受給期間は原則として離職日の翌日から1年間です。手続きが遅れると、所定給付日数の全てを受給できなくなる可能性があるため、離職票が届いたら早めにハローワークへ行きましょう。
住民税の支払い方法の確認
在職中は給与から天引き(特別徴収)されていた住民税ですが、退職後は自分で納付する「普通徴収」に切り替わります。住民税は前年の所得をもとに計算されるため、退職後も支払い義務があることを忘れないようにしましょう。
住民税の納付方法は、退職時期によって以下のように異なります。
1月1日〜5月31日に退職した場合
退職月の給与または退職金から、5月分までの住民税が一括徴収されます。退職月の給与や退職金が住民税額より少ない場合は、普通徴収に切り替わり、自分で納付することになります。
6月1日〜12月31日に退職した場合
退職月までの住民税は給与から天引きされ、翌月以降の分は普通徴収に切り替わります。市区町村から納付書が届くので、期限までに自分で納付しましょう。
希望すれば、退職月から翌年5月分までの住民税を、退職時に一括で天引きしてもらうことも可能です。
転職先が決まっている場合
退職する会社で「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を作成してもらい、転職先に引き継ぐことで、特別徴収を継続できます。
普通徴収の場合、納付は年4回(6月末、8月末、10月末、翌年1月末)に分けて行います。納付書が届いたら、コンビニや金融機関の窓口、口座振替、ペイジーなどで支払いましょう。
住民税を滞納すると延滞金が発生し、信用情報にも影響する可能性があります。退職後は収入が減る方も多いため、住民税の支払いに備えて資金を確保しておくことが大切です。
確定申告の準備
年の途中で退職し、年内に再就職しない場合は、翌年に自分で確定申告を行う必要があります。会社員は通常、年末調整で所得税の精算が完了しますが、退職後は年末調整を受けられないためです。
確定申告が必要なケース
- 年の途中で退職し、12月31日時点で再就職していない場合
- 退職後にフリーランスや個人事業主になった場合
- 「退職所得の受給に関する申告書」を提出せずに退職金を受け取った場合
- 転職先で前職の源泉徴収票を含めた年末調整ができなかった場合
確定申告で還付を受けられる可能性
退職後に確定申告を行うと、払いすぎた所得税が還付される可能性があります。会社員の所得税は、年収を見込んで毎月源泉徴収されているため、年の途中で退職すると払いすぎになることが多いのです。
たとえば、10月に退職し年末まで無職の場合、退職までに源泉徴収された所得税は、年間収入を想定した金額です。実際の年収が想定より少なくなるため、確定申告で各種控除を適用すれば、納めすぎた税金の還付を受けられます。
確定申告に必要な書類
- 源泉徴収票(退職した会社から発行される)
- 社会保険料控除証明書(退職後に支払った国民健康保険料・国民年金保険料)
- 生命保険料控除証明書
- 医療費の領収書(医療費控除を受ける場合)
- マイナンバーカードまたは通知カード
確定申告の期間は翌年2月16日から3月15日までですが、還付申告は1月1日から5年間行うことができます。源泉徴収票は退職後1か月以内に届くのが一般的ですので、届いたら大切に保管しておきましょう。
なお、年内に再就職し、転職先で前職の源泉徴収票を提出して年末調整を受けた場合は、確定申告の必要はありません。
【期限別】退職後14日以内にやるべき手続き

退職後の手続きには、それぞれ期限が設けられています。特に健康保険と年金の切り替えは、退職日の翌日から14日以内に届出を行う必要があります。
期限を過ぎても手続き自体は可能ですが、届出が遅れると保険証の発行が遅れたり、医療費が一時的に全額自己負担になったりする可能性があります。退職後は速やかに手続きを進めましょう。
ここでは、14日以内に済ませるべき国民健康保険と国民年金の手続きについて、必要書類や届出先を詳しく解説します。
国民健康保険への加入手続き
会社の健康保険は退職日の翌日に資格を喪失するため、退職後は新たな健康保険に加入する必要があります。任意継続や家族の扶養に入らない場合は、国民健康保険への加入手続きを行いましょう。
国民健康保険は市区町村が運営する医療保険制度で、自営業者や退職後の無職期間中の方などが加入対象となります。届出期限は退職日の翌日から14日以内です。届出が遅れると、退職日から届出日までの医療費が全額自己負担になる場合もあるため、早めの手続きをおすすめします。
必要書類と届出先
国民健康保険の届出先は、住所地の市区町村役所(国民健康保険課や保険年金課など)です。届出は窓口のほか、郵送で手続きできる自治体もあります。
届出に必要な書類
- 健康保険資格喪失証明書
- マイナンバーカード(お持ちでない場合は本人確認書類)
- 届出に来る人の身分証明書(運転免許証、パスポートなど)
- 印鑑(自治体によって必要な場合あり)
- キャッシュカードまたは通帳と届出印(口座振替を希望する場合)
健康保険資格喪失証明書は、退職時に会社から受け取るか、退職後に発行を依頼します。届かない場合は、年金事務所で「健康保険被保険者資格喪失確認通知書」を発行してもらうことも可能です。なお、離職票は資格喪失証明書の代わりにはならないため注意しましょう。
国民健康保険料は前年の所得や世帯人数をもとに計算されます。金額は市区町村役場の窓口で事前に試算してもらえるため、任意継続と比較して有利な方を選ぶとよいでしょう。
また、倒産・解雇などで離職した「特定受給資格者」や、雇止めなどで離職した「特定理由離職者」に該当する方は、申請により保険料が軽減される制度があります。雇用保険受給資格者証の「離職理由コード」を確認し、該当する場合は申請を忘れずに行いましょう。
扶養に入る場合の手続き
配偶者など家族が会社の健康保険に加入している場合、条件を満たせばその扶養に入ることができます。扶養に入れば保険料の負担がなくなるため、退職後の選択肢として検討する価値があります。
扶養に入るための主な条件
- 年収が130万円未満であること(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)
- 被保険者(扶養する側)の年収の2分の1未満であること
- 被保険者と生計を同一にしていること
扶養に入る手続きは、被保険者の勤務先を通じて行います。退職後すぐに扶養認定を受けたい場合は、事前に勤務先へ相談しておくとスムーズです。
手続きに必要な書類(一般的な例)
- 健康保険被扶養者(異動)届
- 退職証明書または離職票の写し
- 収入を証明する書類(源泉徴収票、非課税証明書など)
- 続柄を確認できる書類(住民票など)
必要書類は健康保険組合によって異なるため、被保険者の勤務先または加入している健康保険組合に確認しましょう。
なお、失業保険(基本手当)を受給している期間中は、日額が3,612円以上(年収換算で約130万円)になると扶養から外れる場合があります。失業保険の受給予定がある方は、事前に確認しておくことをおすすめします。
国民年金への切り替え手続き
会社員は厚生年金に加入していますが、退職すると資格を喪失します。60歳未満で退職し、すぐに再就職しない場合は、国民年金(第1号被保険者)への切り替え手続きが必要です。届出期限は退職日の翌日から14日以内となっています。
届出を怠ると、将来受け取れる年金額が減ったり、万が一の際に障害年金を受給できなくなったりする可能性があります。退職後は忘れずに手続きを行いましょう。
届出に必要なものと届出先
国民年金への切り替えは、住所地の市区町村役所(国民年金課や保険年金課など)で手続きします。届出は窓口のほか、マイナポータルを利用した電子申請も可能です。
届出に必要なもの
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
- 退職日がわかる書類(離職票、退職証明書、健康保険資格喪失証明書など)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 印鑑(自治体によって必要な場合あり)
また、退職者に扶養されていた配偶者(国民年金第3号被保険者)がいる場合は、その方も第1号被保険者への切り替えが必要です。届出は本人が行うのが原則ですが、同一世帯の家族であれば代理で届出できます。
国民年金保険料は全国一律で、令和6年度は月額16,980円です。納付書は届出後に届きますが、届出から届くまでに時間がかかる場合もあるため、届出時に金額を確認しておくと安心です。
なお、転職先がすでに決まっている場合は、転職先で厚生年金への加入手続きが行われるため、自分で国民年金の届出をする必要はありません。ただし、転職まで1日でも空白期間がある場合は、その期間だけ国民年金に加入する必要があります。
免除・猶予制度の活用方法
退職後は収入がなくなり、国民年金保険料の支払いが難しくなる方も少なくありません。そのような場合は、保険料の「免除制度」や「納付猶予制度」を活用できます。
これらの制度を利用すれば、将来の年金受給資格期間に算入されるため、未納のまま放置するよりも有利です。条件を満たす場合は、積極的に申請しましょう。
保険料免除制度
前年所得が一定額以下の場合に、保険料の全額または一部(4分の3、半額、4分の1)が免除されます。退職した場合は「特例免除」として、退職者本人の前年所得を除外して審査してもらえるため、承認されやすくなります。
納付猶予制度
50歳未満の方で、本人と配偶者の前年所得が一定額以下の場合に、保険料の納付が猶予されます。猶予期間中は受給資格期間に算入されますが、年金額には反映されません。
申請に必要なもの
- 国民年金保険料免除・納付猶予申請書
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
- 離職票または雇用保険受給資格者証の写し(特例免除を申請する場合)
申請先は住所地の市区町村役所または年金事務所です。免除・猶予が承認された期間の保険料は、10年以内であれば追納して将来の年金額を増やすこともできます。
なお、学生の方は「学生納付特例制度」を利用できます。経済的に厳しい場合は未納のまま放置せず、必ずいずれかの制度を申請しましょう。
退職後すぐにハローワークでやること

退職後に転職活動を行う方や、しばらく働かない期間がある方は、ハローワークで失業保険(雇用保険の基本手当)の受給手続きを行いましょう。失業保険は、再就職までの生活を支えながら求職活動に専念するための制度です。
手続きには離職票が必要なため、会社から届いたらできるだけ早くハローワークへ行くことをおすすめします。失業保険を受給できる期間は、原則として離職日の翌日から1年間と決まっており、手続きが遅れると給付日数を全て受け取れなくなる可能性があるためです。
ここでは、ハローワークでの手続きの流れや必要書類、受給条件について詳しく解説します。
失業保険の受給手続きの流れ
失業保険を受給するには、住所地を管轄するハローワークで所定の手続きを行う必要があります。手続きから受給開始までの流れは以下のとおりです。
1. 求職申込みと離職票の提出
ハローワークの窓口で「求職申込み」を行い、離職票などの必要書類を提出します。求職申込みは事前にハローワークインターネットサービスで仮登録しておくと、当日の手続き時間を短縮できます。書類に不備がなければ、受給資格の決定が行われ、受給説明会の日時が案内されます。
2. 待期期間(7日間)
受給資格決定後、7日間の「待期期間」があります。この期間は離職理由を問わず全員に適用され、基本手当は支給されません。待期期間中にアルバイトなどで収入を得ると、待期期間が延長される場合があるため注意しましょう。
3. 雇用保険受給者初回説明会に参加
待期期間中または終了後に、雇用保険の制度や手続きについての説明会が行われます。この説明会で「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を受け取り、第1回目の失業認定日が伝えられます。
4. 求職活動を行う
失業認定を受けるためには、認定日までに原則2回以上の求職活動実績が必要です。求職活動として認められるのは、ハローワークでの職業相談・職業紹介、求人への応募、各種セミナーの受講などです。単なる求人情報の閲覧や、知人への紹介依頼だけでは求職活動として認められません。
5. 失業認定日にハローワークへ行く
原則として4週間に1度、指定された失業認定日にハローワークを訪れ、失業状態の確認を受けます。失業認定申告書に求職活動の状況を記入し、雇用保険受給資格者証とともに提出します。失業認定を受けると、約1週間後に指定口座へ基本手当が振り込まれます。
6. 再就職または給付期間終了まで繰り返す
再就職が決まるか、所定給付日数を受け終わるまで、失業認定と受給を繰り返します。早期に再就職が決まった場合は「再就職手当」を受給できる可能性があるため、ハローワークで確認しましょう。
なお、自己都合退職の場合は、待期期間7日間に加えて原則2か月間の「給付制限期間」があります。この期間中は基本手当を受け取れないため、生活費の準備が必要です。
求職申込みに必要な書類
ハローワークで失業保険の受給手続きをする際は、以下の書類を用意しましょう。書類が揃っていないと手続きができない場合があるため、事前に確認しておくことが大切です。
必ず用意するもの
- 雇用保険被保険者離職票(1・2) 退職した会社から届く書類で、失業保険の申請に必須です。通常、退職後10日〜2週間程度で届きます。届かない場合は会社に問い合わせましょう。
- マイナンバーカード マイナンバーカードがあれば、本人確認と個人番号の確認が1枚で済みます。今後の手続きでも毎回提示することで、写真の添付が不要になります。
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード 基本手当の振込先を届け出るために必要です。一部のネット銀行や外資系金融機関は指定できない場合があります。ゆうちょ銀行は利用可能です。
マイナンバーカードがない場合
マイナンバーカードをお持ちでない方は、以下の書類を用意してください。
- 個人番号確認書類 通知カード(記載事項が住民票と一致している場合)または個人番号が記載された住民票
- 身元確認書類(以下のいずれか1点) 運転免許証、運転経歴証明書、官公署発行の身分証明書、パスポートなど
- 写真2枚 縦3cm×横2.4cm、正面上半身、最近撮影したもの
あると手続きがスムーズになるもの
- 印鑑(認印で可、シャチハタ不可の場合あり)
- 求職活動の記録(以前の職歴や希望職種のメモなど)
離職票がなかなか届かない場合は、ハローワークに相談すれば「仮手続き」が可能です。退職日の翌日から12日目以降であれば、離職票の代わりに退職証明書などを持参して手続きを開始できます。会社が離職票を発行してくれない場合も、ハローワークから会社への働きかけをしてもらえるため、早めに相談しましょう。
失業給付の受給条件と給付日数
失業保険(基本手当)を受給するには、一定の条件を満たす必要があります。また、給付日数は離職理由や年齢、雇用保険の加入期間によって異なります。
受給するための条件
失業保険を受給するには、以下の条件を全て満たす必要があります。
- 雇用保険の被保険者期間が一定以上あること
- 自己都合退職の場合:離職日以前2年間に、被保険者期間が通算12か月以上
- 会社都合退職の場合:離職日以前1年間に、被保険者期間が通算6か月以上
- 失業状態にあること
- 就職する意思と能力があること
- 積極的に求職活動を行っていること
- 現在就職していないこと
- ハローワークで求職の申込みをしていること
病気やケガ、妊娠・出産、育児などですぐに働けない状態の場合は、受給期間の延長手続きを行えば、働ける状態になってから受給を開始できます。
基本手当の日額
1日あたりの支給額(基本手当日額)は、退職前6か月間の賃金をもとに計算されます。おおよそ退職前の賃金の50〜80%程度で、賃金が低いほど給付率が高くなる仕組みです。また、年齢によって上限額が定められています。
所定給付日数(受給できる日数)
給付日数は、離職理由、年齢、雇用保険の加入期間によって90日〜360日の範囲で決まります。
【自己都合退職の場合】
| 被保険者期間 | 給付日数 |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
【会社都合退職(特定受給資格者)の場合】
年齢と被保険者期間によって90日〜330日の範囲で決まり、自己都合退職より手厚い給付を受けられます。たとえば、45歳以上60歳未満で被保険者期間20年以上の場合は330日となります。
給付制限について
自己都合退職の場合は、7日間の待期期間に加えて原則2か月間の給付制限があります。ただし、過去5年間に2回以上自己都合で退職している場合は3か月間に延長されます。
一方、倒産・解雇などの会社都合退職や、正当な理由のある自己都合退職(特定理由離職者)の場合は、給付制限がなく、待期期間終了後すぐに受給を開始できます。
離職票に記載された離職理由に異議がある場合は、ハローワークに相談しましょう。事実関係を調査した上で、離職理由が判定されます。
退職後の税金に関する手続き

退職後は、税金の納付方法や手続きが在職中とは大きく変わります。会社員として働いていた頃は、所得税や住民税は給与から自動的に天引きされていましたが、退職後は自分で納付したり、確定申告を行ったりする必要があります。
特に注意したいのは、住民税は前年の所得をもとに計算されるため、退職後も支払い義務が続くという点です。収入がなくなった後に納付書が届いて驚く方も少なくありません。
ここでは、退職後に知っておくべき住民税の納付方法、確定申告が必要なケース、退職金にかかる税金について詳しく解説します。
住民税の納付方法と注意点
在職中は毎月の給与から天引き(特別徴収)されていた住民税ですが、退職後は自分で納付する「普通徴収」に切り替わります。住民税は前年1月〜12月の所得に対して課税され、翌年6月から翌々年5月にかけて納付する仕組みのため、退職後も支払いが続きます。
退職時期による納付方法の違い
住民税の取り扱いは、退職する時期によって以下のように異なります。
1月1日〜5月31日に退職した場合
退職月から5月分までの住民税が、最後の給与または退職金から一括で天引きされます。たとえば3月に退職する場合は、3月分・4月分・5月分の住民税がまとめて徴収されるため、手取り額が大きく減ることがあります。
給与や退職金の額が住民税の残額より少ない場合は、普通徴収に切り替わり、届いた納付書で自分で納めることになります。
6月1日〜12月31日に退職した場合
退職月の住民税は給与から天引きされますが、翌月以降の分は普通徴収に切り替わります。退職後しばらくすると、市区町村から納付書が届くので、期限までに自分で納付しましょう。
希望すれば、退職月から翌年5月分までの住民税を退職時に一括で天引きしてもらうことも可能です。一括で支払いたい場合は、退職前に会社の担当者に相談してください。
転職先が決まっている場合
退職から再就職までの空白期間がない場合は、転職先で引き続き特別徴収を継続できます。退職する会社で「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を作成してもらい、転職先に引き継ぐ手続きが必要です。
普通徴収の納付方法と注意点
普通徴収の場合、市区町村から届く納付書を使い、年4回(6月末、8月末、10月末、翌年1月末)に分けて納付します。一括納付も選択可能です。
納付方法は以下から選べます。
- 金融機関やコンビニの窓口
- 口座振替
- ペイジー(Pay-easy)
- クレジットカード(対応自治体のみ)
- スマートフォン決済アプリ(対応自治体のみ)
納付を忘れると督促状が届き、期限を過ぎると延滞金が発生します。住民税の滞納は信用情報にも影響する可能性があるため、納付書が届いたら期限を確認し、忘れずに支払いましょう。退職後は収入が減ることが多いため、住民税分の資金をあらかじめ確保しておくことが大切です。
確定申告が必要なケースとは
会社員は通常、勤務先が年末調整を行うため確定申告の必要はありません。しかし、年の途中で退職した場合や、退職後に一定の条件に該当する場合は、自分で確定申告を行う必要があります。
確定申告が必要なケース
以下のいずれかに該当する場合は、確定申告が必要です。
1. 年内に再就職せず、年末調整を受けていない場合
年の途中で退職し、12月31日時点で再就職していない場合は、年末調整が行われていません。そのため、翌年2月16日〜3月15日の確定申告期間に自分で申告を行う必要があります。
2. 退職後にフリーランスや個人事業主になった場合
退職後に独立して事業を始めた場合、会社員時代の給与所得と事業所得の両方を申告する必要があります。年末調整は行われないため、確定申告で税額を精算します。
3. 退職金の「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合
通常、退職金を受け取る際は「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出することで、適正な税率で源泉徴収されます。しかし、この申告書を提出していないと、退職金から一律20.42%の所得税が差し引かれてしまいます。本来の税額より多く徴収されているため、確定申告で還付を受けましょう。
4. 年の途中で転職したが、前職の源泉徴収票を提出していない場合
転職先での年末調整には、前職の源泉徴収票が必要です。源泉徴収票の提出が間に合わなかった場合は、自分で確定申告を行います。
確定申告で還付を受けられるケース
確定申告が義務ではなくても、申告することで払いすぎた税金が戻ってくる場合があります。
- 年の途中で退職し、その後収入がなかった場合
- 医療費が年間10万円を超えた場合(医療費控除)
- ふるさと納税をしたがワンストップ特例を使わなかった場合
- 住宅ローン控除の初年度(2年目以降は年末調整で可)
- 退職後に支払った国民健康保険料や国民年金保険料がある場合(社会保険料控除)
特に年の途中で退職した場合は、所得税が払いすぎになっていることが多いため、確定申告で還付を受けられる可能性が高いです。
確定申告に必要な書類
- 源泉徴収票(退職した会社から発行)
- マイナンバーカードまたは通知カード+本人確認書類
- 各種控除証明書(生命保険料、国民健康保険料、国民年金保険料など)
- 還付金を受け取る口座情報
確定申告は国税庁のホームページ「確定申告書等作成コーナー」でオンライン作成が可能です。作成した申告書はe-Taxで電子送信するか、印刷して税務署に郵送・持参できます。還付申告は翌年1月1日から5年間提出できるため、申告を忘れていた方も期間内であれば手続き可能です。
退職金にかかる税金の仕組み
退職金は長年の勤務に対する功労報酬という性質から、給与所得よりも税制上優遇されています。ただし、全額非課税というわけではなく、金額によっては所得税と住民税がかかります。
退職所得の計算方法
退職金にかかる税金は「退職所得」をもとに計算されます。退職所得は、以下の計算式で求めます。
退職所得 =(退職金の額 − 退職所得控除額)× 1/2
退職所得控除額は、勤続年数によって以下のように計算されます。
| 勤続年数 | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 勤続年数(80万円に満たない場合は80万円) |
| 20年超 | 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年) |
たとえば、勤続25年で退職金が1,500万円の場合は以下のようになります。
- 退職所得控除額:800万円 + 70万円 ×(25年 − 20年)= 1,150万円
- 退職所得:(1,500万円 − 1,150万円)× 1/2 = 175万円
この175万円に対して所得税と住民税がかかります。退職所得控除によって課税対象が大幅に減り、さらに1/2を乗じるため、給与所得と比べて税負担が軽くなる仕組みです。
「退職所得の受給に関する申告書」の重要性
退職金を受け取る際には、「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出することが重要です。この申告書を提出すると、会社が正しい税額を計算して源泉徴収するため、原則として確定申告は不要になります。
申告書を提出しない場合は、退職金の額にかかわらず一律20.42%の所得税が源泉徴収されます。この税率は多くの場合、本来の税額より高いため、確定申告を行って還付を受ける必要があります。
退職金にかかる住民税
退職金には住民税もかかります。税率は一律10%(都道府県民税4%+市区町村民税6%)で、退職所得に対して課税されます。住民税は退職金から天引きされて納税が完了するため、翌年の住民税に影響することはありません。
退職金の税金を抑えるポイント
- 「退職所得の受給に関する申告書」は必ず提出する
- 複数の会社から退職金を受け取る場合は、合算して計算される点に注意
- iDeCo(個人型確定拠出年金)の一時金と同じ年に受け取ると、控除額が調整される場合がある
退職金は人生で何度も受け取るものではないため、税金の仕組みを正しく理解し、損をしないようにしましょう。不明点がある場合は、退職前に会社の担当者や税務署に確認することをおすすめします。
転職先が決まっている場合の手続き

退職後すぐに転職先へ入社する場合は、健康保険や年金の切り替え手続きを自分で行う必要がありません。転職先の会社が社会保険の加入手続きを代行してくれるため、退職者の負担は大幅に軽減されます。
ただし、スムーズに手続きを進めるためには、退職時に受け取る書類を漏れなく揃え、転職先に提出することが重要です。また、退職日と入社日の間に空白期間がある場合は、その期間だけ自分で社会保険に加入する必要があります。
ここでは、転職先に提出する書類と、空白期間がある場合の対応について解説します。
転職先に提出する書類一覧
転職先に入社する際は、前職で受け取った書類や、自分で用意する書類を提出する必要があります。書類が揃っていないと社会保険の加入手続きや給与計算に支障が出るため、退職時に漏れなく受け取っておきましょう。
前職から受け取り、転職先に提出する書類
1. 雇用保険被保険者証
雇用保険に加入していたことを証明する書類です。転職先で雇用保険の資格取得手続きを行う際に必要となります。在職中は会社が保管していることが多いため、退職時に受け取りましょう。紛失した場合は、ハローワークで再発行できます。
2. 源泉徴収票
その年の1月1日から退職日までの給与総額や、源泉徴収された所得税額が記載された書類です。転職先で年末調整を行う際に必要となります。通常は退職後1か月以内に届きますが、届かない場合は前職に問い合わせましょう。
3. 年金手帳または基礎年金番号通知書
年金の加入手続きに必要な基礎年金番号を確認するための書類です。マイナンバーで手続きできる会社も増えていますが、念のため用意しておくと安心です。紛失した場合は、年金事務所で再発行できます。
4. 給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書(該当する場合)
住民税の特別徴収を転職先でも継続する場合に必要な書類です。前職の会社で作成してもらい、転職先に提出することで、住民税の天引きがスムーズに引き継がれます。希望する場合は、退職前に前職の担当者に依頼しておきましょう。
自分で用意して提出する書類
1. 扶養控除等(異動)申告書
給与から差し引く所得税額を計算するために必要な書類です。扶養家族の有無などを記入し、入社時に転職先へ提出します。転職先から用紙を渡されることが一般的です。
2. 健康保険被扶養者(異動)届(該当する場合)
配偶者や子どもなど、扶養する家族がいる場合に提出します。転職先の健康保険に被扶養者として加入させるために必要な書類です。
3. 給与振込先届出書
給与の振込先口座を届け出るための書類です。転職先から指定の用紙を渡されるか、口座情報を記入して提出します。
4. マイナンバー関連書類
社会保険や税金の手続きにマイナンバーが必要です。マイナンバーカードのコピー、または通知カードと本人確認書類のコピーを提出します。
その他、転職先によって求められる書類
- 健康診断書(入社前3か月以内に受診したもの)
- 身元保証書
- 卒業証明書・資格証明書
- 住民票記載事項証明書
必要書類は転職先によって異なるため、入社前に人事担当者へ確認しておくと安心です。
空白期間がある場合の対応
退職日と転職先への入社日の間に1日でも空白期間がある場合は、その期間中の健康保険と年金について、自分で手続きを行う必要があります。空白期間を「無保険」のまま放置すると、万が一の病気やケガの際に医療費が全額自己負担になるリスクがあるため注意しましょう。
健康保険の対応
空白期間中は、以下のいずれかの方法で健康保険に加入します。
1. 国民健康保険に加入する
市区町村役所で手続きを行い、国民健康保険に加入します。退職日の翌日から14日以内に届出が必要です。短期間であっても保険料が発生しますが、月末時点で加入している保険が1か月分の保険料を負担する仕組みのため、月途中で転職先の健康保険に切り替われば、国民健康保険料がかからない場合もあります。
届出には健康保険資格喪失証明書、マイナンバーカード(または本人確認書類)が必要です。
2. 任意継続被保険者になる
前職の健康保険を最大2年間継続できる制度です。退職日の翌日から20日以内に手続きが必要で、保険料は全額自己負担となります。空白期間が短い場合は国民健康保険の方が手続きが簡単ですが、保険料を比較して有利な方を選びましょう。
3. 家族の扶養に入る
配偶者など家族が会社の健康保険に加入しており、年収130万円未満などの条件を満たす場合は、扶養に入ることもできます。空白期間が長くなる見込みがある場合は検討してみましょう。
年金の対応
60歳未満の方は、空白期間中も国民年金に加入する義務があります。たとえ数日の空白期間でも、届出が必要です。
手続きは住所地の市区町村役所で行い、届出期限は退職日の翌日から14日以内です。届出には年金手帳または基礎年金番号通知書、退職日がわかる書類(離職票など)、本人確認書類が必要です。
なお、月の途中で転職先の厚生年金に加入した場合、その月は厚生年金の保険料のみが発生し、国民年金保険料はかかりません。月末時点で加入している年金制度が、その月の保険料を負担する仕組みだからです。
住民税の対応
住民税は空白期間の有無にかかわらず、前年の所得に対して課税されます。空白期間中に届いた納付書があれば、期限までに納付しましょう。
転職先で特別徴収を継続したい場合は、前職で「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を作成してもらい、転職先に引き継ぎます。空白期間が長い場合や手続きが間に合わなかった場合は、一旦普通徴収で納付し、転職先で次年度から特別徴収に切り替えることになります。
空白期間がある場合のポイント
- 退職日と入社日を調整できる場合は、空白期間をなくすと手続きが不要になる
- 月末退職・翌月1日入社にすると、社会保険料の二重払いを避けられる場合がある
- 空白期間が生じる場合は、退職前に前職・転職先双方に相談しておくとスムーズ
空白期間が長くなる場合は、失業保険の受給手続きも検討しましょう。ただし、すでに転職先が決まっている場合は受給対象外となるため、入社日まで待つことになります。
まとめ:退職後の手続きは期限を守って漏れなく完了させよう

退職後にやるべき手続きについて解説してきました。最後に、重要なポイントを振り返りましょう。
退職後は環境が大きく変わり、慣れない手続きに戸惑うこともあるかもしれません。しかし、一つひとつ確実に対応していけば、難しいことはありません。この記事を参考に、必要な手続きを期限内に済ませ、新たなスタートに向けて万全の準備を整えてください。
