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退職給付金とは?種類や条件・申請方法をわかりやすく解説

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本記事では、退職給付金の基本知識から失業保険・再就職手当などの種類、受給条件、具体的な計算方法、申請手続きまでをわかりやすく解説します。2025年4月の雇用保険法改正のポイントも紹介しているので、これから退職を考えている方はぜひ参考にしてください。

目次

退職給付金とは?基本知識をわかりやすく解説

退職を検討している方や、すでに退職を決めた方にとって「退職後の生活費をどう確保するか」は大きな不安材料です。そんなときに心強い味方となるのが「退職給付金」です。

退職給付金を正しく理解し、適切に申請すれば、退職後も安定した生活を送りながら次のキャリアに向けた準備を進められます。まずは、退職給付金の基本的な知識を押さえておきましょう。

退職給付金は退職後に受け取れるお金の総称

退職給付金とは、退職時や退職後に受け取れるお金の総称です。特定の制度を指す言葉ではなく、失業保険(雇用保険の基本手当)や傷病手当金、再就職手当など、複数の給付制度をまとめた呼び方として使われています。

退職給付金の主な目的は、仕事を辞めた人の生活を経済的にサポートし、安心して再就職活動を行えるよう支援することです。国や自治体が運営する公的制度として、条件を満たせば誰でも申請できます。

代表的な退職給付金には以下のようなものがあります。

  • 失業保険(基本手当):離職後の生活費を支援し、再就職活動をサポート
  • 再就職手当:早期に再就職した場合に支給される一時金
  • 傷病手当金:病気やケガで働けない期間の生活を保障
  • 高年齢求職者給付金:65歳以上の離職者を対象とした一時金
  • 教育訓練給付金:スキルアップのための講座受講費用を補助

これらの給付金は、それぞれ支給条件や申請先が異なります。自分がどの給付金の対象になるかを事前に確認しておくことが大切です。

退職給付金と退職金の違いとは

「退職給付金」と「退職金」は混同されやすい言葉ですが、実際はまったく異なる制度です。

退職金は、長年の会社への貢献に報いるために企業が独自に設ける制度です。法律上の支払い義務はなく、会社の就業規則や退職金規程に基づいて支給されます。退職金制度がない企業も多く、支給額や条件は会社によって大きく異なります。

一方、退職給付金は、失業中の生活を支え、再就職を支援するために国が運営する公的な制度です。雇用保険や健康保険といった社会保険制度の一部として位置づけられ、条件を満たせば受給できます。

両者の違いを表にまとめると、以下のとおりです。

項目退職金退職給付金
運営主体企業(任意)国・公的機関
目的功労報奨生活保障・再就職支援
支給条件会社の規定による法律で定められた条件
義務法的義務なし条件を満たせば受給権あり

退職を考える際は、まず自分の勤務先に退職金制度があるかを確認し、あわせて雇用保険への加入状況もチェックしておきましょう。

2025年4月の雇用保険法改正で変わったポイント

2025年4月に雇用保険法が改正され、退職給付金に関するルールが大きく変わりました。特に自己都合退職者にとっては、制度がより利用しやすくなっています。

①給付制限期間が2ヶ月から1ヶ月に短縮

これまで自己都合退職の場合、失業保険を受け取るまでに7日間の待期期間に加えて、2ヶ月間の給付制限期間がありました。2025年4月からは、この給付制限期間が1ヶ月に短縮されています。

この変更により、離職してから約1ヶ月半程度で失業保険を受け取れるようになり、退職後の経済的な不安が大幅に軽減されました。

ただし、5年以内に3回以上自己都合退職をした場合は、給付制限期間が3ヶ月となる点には注意が必要です。

②教育訓練を受けると給付制限が解除

今回の改正では、自己都合退職者が離職期間中や離職日前1年以内に、雇用の安定や再就職に役立つ教育訓練を自ら受けた場合、給付制限期間が完全に解除される制度も導入されました。

対象となる教育訓練には、教育訓練給付金の対象講座や公共職業訓練などが含まれます。通信講座や資格スクールの講座も対象となるため、スキルアップを考えている方は積極的に活用したい制度です。

これらの改正により、労働者がより安心して転職やキャリアチェンジに踏み出せる環境が整備されました。退職を検討している方は、改正内容を踏まえて計画的に準備を進めていきましょう。

退職給付金の主な種類一覧と特徴

退職後に受け取れる給付金には、さまざまな種類があります。失業中の生活を支えるものから、早期再就職を促進するもの、スキルアップを支援するものまで、目的に応じた制度が用意されています。

自分がどの給付金を受け取れるのかを把握し、状況に合った制度を選ぶことで、退職後の生活をより安定させられます。ここでは、代表的な6つの退職給付金について詳しく解説します。

失業保険(基本手当)の概要と目的

失業保険は、正式には「雇用保険の基本手当」と呼ばれ、退職給付金のなかでも最も利用される制度です。離職した人が安心して求職活動に専念し、できるだけ早く再就職できるよう支援することを目的としています。

失業保険を受給するには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 離職前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12ヶ月以上あること(会社都合退職の場合は1年間で6ヶ月以上)
  • 働く意思と能力があり、積極的に求職活動を行っていること
  • ハローワークで求職の申し込みをしていること

支給額は、退職前6ヶ月間の賃金(ボーナスを除く)の合計を180で割った「賃金日額」に、50〜80%の給付率をかけて算出されます。離職前の賃金が低いほど給付率は高くなる仕組みです。

給付日数は、退職理由や年齢、雇用保険の加入期間によって90日から330日の範囲で決まります。会社都合退職の場合は自己都合退職よりも給付日数が多くなるケースがほとんどです。

再就職手当で早期就職をサポート

再就職手当は、失業保険の受給資格がある人が、給付期間を一定以上残して早期に再就職した場合に支給される一時金です。「早く就職するほど損をする」という状況を防ぎ、積極的な再就職を促すために設けられた制度です。

再就職手当を受け取るには、主に以下の条件を満たす必要があります。

  • 就職日の前日までに失業保険の残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
  • 待期期間(7日間)が経過した後に就職していること
  • 1年を超えて引き続き雇用されることが見込まれること
  • 離職前の会社やその関連会社への再就職ではないこと

支給額は、失業保険の残日数に応じて変わります。残日数が所定給付日数の3分の2以上ある場合は基本手当日額の70%、3分の1以上ある場合は60%が支給されます。

たとえば、基本手当日額が5,000円で残日数が100日(3分の2以上)の場合、5,000円×100日×70%=35万円を一括で受け取れる計算です。

傷病手当金は病気やケガで働けない時に

傷病手当金は、業務外の病気やケガで働けなくなった場合に、健康保険から支給される給付金です。雇用保険ではなく健康保険の制度であるため、失業保険とは別の仕組みで運営されています。

傷病手当金の主な受給条件は以下のとおりです。

  • 業務外の事由による病気やケガで療養中であること
  • 療養のために仕事に就けない状態であること
  • 連続する3日間を含み、4日以上仕事を休んでいること
  • 休業期間中に給与の支払いがないこと

支給額は、支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均額を30で割り、その3分の2に相当する金額です。おおよそ給与の約67%が支給されると考えてよいでしょう。

支給期間は、支給開始日から通算して1年6ヶ月が上限です。退職後も一定の条件を満たせば継続して受給できるため、病気療養中に退職を検討している方は確認しておくべき制度です。

高年齢求職者給付金は65歳以上が対象

高年齢求職者給付金は、65歳以上の雇用保険被保険者が離職した場合に支給される一時金です。65歳未満の離職者が受け取る失業保険(基本手当)とは異なり、一括で支給されるのが特徴です。

受給するための主な条件は以下のとおりです。

  • 離職日以前1年間に雇用保険の被保険者期間が6ヶ月以上あること
  • 働く意思と能力があり、求職活動を行っていること

支給額は、被保険者期間によって異なります。被保険者期間が1年未満の場合は基本手当日額の30日分、1年以上の場合は50日分が一括で支給されます。

失業保険と比べると受給できる金額は少なくなりますが、年金と併せて受け取れる点がメリットです。また、条件を満たせば何度でも受給できるため、シニア世代の働き方の選択肢を広げる制度として活用されています。

教育訓練給付金でスキルアップ支援

教育訓練給付金は、働く人のスキルアップやキャリア形成を支援するために、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座の受講費用の一部を補助する制度です。在職中でも離職後でも、条件を満たせば利用できます。

教育訓練給付金には、支給率や対象講座が異なる3つの種類があります。

種類支給率対象例
一般教育訓練給付金受講費用の20%(上限10万円)簿記、TOEIC、Webデザインなど
特定一般教育訓練給付金受講費用の40%(上限20万円)介護職員初任者研修、大型免許など
専門実践教育訓練給付金受講費用の50〜70%(年間上限56万円)看護師、美容師、MBAなど

受給するには、原則として雇用保険の被保険者期間が3年以上(初回利用は1〜2年以上)必要です。

2025年4月の雇用保険法改正により、自己都合退職者がこの教育訓練を受けた場合、失業保険の給付制限が解除される仕組みも導入されました。スキルアップと失業保険の早期受給を両立できるため、積極的に活用したい制度です。

求職者支援制度で月10万円の給付も

求職者支援制度は、雇用保険を受給できない求職者を対象とした国の支援制度です。無料の職業訓練を受けながら、一定の条件を満たせば月額10万円の「職業訓練受講給付金」を受け取れます。

この制度は、以下のような方を対象としています。

  • 雇用保険の被保険者ではない、または被保険者期間が足りない方
  • 失業保険の受給期間が終了した方
  • 学卒未就職者やフリーターなど、雇用保険に加入していなかった方

職業訓練受講給付金を受けるには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 本人の収入が月8万円以下であること
  • 世帯全体の収入が月30万円以下であること
  • 世帯全体の金融資産が300万円以下であること
  • 訓練実施日にすべて出席すること(やむを得ない理由がある場合は8割以上)

職業訓練の内容は、パソコンスキル、経理、医療事務、介護、Webデザインなど多岐にわたります。お金をもらいながらスキルを身につけられるため、失業保険を受給できない方にとっては非常に心強い制度です。

退職給付金の受給条件を種類別に解説

退職給付金は、申請すれば誰でも受け取れるわけではありません。給付金の種類ごとに細かな受給条件が定められており、条件を満たしていなければ支給されない仕組みになっています。

「自分は対象になるのか」「どんな条件をクリアすればいいのか」を事前に把握しておくことで、退職後の手続きをスムーズに進められます。ここでは、主要な退職給付金の受給条件を詳しく解説します。

失業保険を受け取るための3つの条件

失業保険(雇用保険の基本手当)を受給するには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。

①雇用保険の被保険者期間が一定以上あること

自己都合退職の場合は、離職日以前の2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12ヶ月以上必要です。被保険者期間とは、雇用保険に加入していた期間のうち、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を指します。

会社都合退職(倒産・解雇など)や正当な理由のある自己都合退職の場合は、条件が緩和されます。離職日以前の1年間に被保険者期間が通算6ヶ月以上あれば受給資格を得られます。

②働く意思と能力があること

失業保険は「再就職を支援するための給付金」です。そのため、就職する積極的な意思といつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)があることが求められます。

以下のような場合は、原則として失業保険を受給できません。

  • 病気やケガですぐに働けない状態にある
  • 妊娠・出産・育児ですぐに就職できない
  • 定年退職後にしばらく休養する予定がある
  • 家事や学業に専念する
  • すでに次の就職先が決まっている

③ハローワークで求職の申し込みをしていること

失業保険を受給するには、住所地を管轄するハローワークで求職の申し込みを行い、受給資格の決定を受ける必要があります。申し込み後は、4週間に1度ハローワークに出向いて失業の認定を受け、求職活動の実績を報告することが求められます。

再就職手当の受給に必要な条件とは

再就職手当は、失業保険の受給資格者が早期に安定した職業に就いた場合に支給されます。受給するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

主な受給条件

  • 7日間の待期期間が経過した後に就職していること
  • 就職日の前日までに失業保険の残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
  • 1年を超えて引き続き雇用されることが見込まれること
  • 雇用保険の被保険者となる労働条件で働いていること
  • 離職前の事業主やその関連会社への再就職ではないこと
  • 過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給していないこと

自己都合退職者の追加条件

自己都合退職により給付制限を受けている場合は、待期期間満了後の1ヶ月間については、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職でなければ再就職手当の対象になりません。給付制限期間の2ヶ月目以降であれば、自分で見つけた就職先でも対象となります。

再就職手当は、早く就職を決めるほど支給率が高くなる仕組みです。残日数が3分の2以上なら70%、3分の1以上なら60%が支給されるため、積極的な就職活動が経済的なメリットにつながります。

傷病手当金を退職後も継続するには

傷病手当金は、在職中に受給を開始していれば、退職後も継続して受け取れる場合があります。ただし、以下の条件をすべて満たしている必要があります。

退職後も傷病手当金を受給するための条件

  • 退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること
  • 退職日の前日までに連続して3日以上仕事を休んでいること(待期期間の完成)
  • 退職日に出勤していないこと
  • 退職日時点で傷病手当金を受給していた、または受給できる状態であったこと
  • 退職後も引き続き同じ病気やケガで働けない状態が続いていること

特に注意が必要なのは、退職日の扱いです。退職日に出勤してしまうと、継続給付の条件を満たさなくなり、退職後の傷病手当金を受け取れなくなります。たとえ挨拶程度であっても、退職日には出勤しないようにしましょう。

退職後の傷病手当金は、支給開始日から通算して1年6ヶ月を上限に受給できます。ただし、老齢年金を受給している場合は調整が行われ、年金額が傷病手当金の日額を上回る場合は傷病手当金が支給されません。

パート・アルバイトでも受給できる?

結論から言えば、パートやアルバイトでも退職給付金を受給できます。雇用形態ではなく、雇用保険への加入状況が受給資格を決める基準となるためです。

雇用保険に加入できる条件

パートやアルバイトであっても、以下の条件を満たしていれば雇用保険に加入しています。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上の雇用見込みがあること

雇用保険に加入していれば、正社員と同様に失業保険や再就職手当などの給付を受けられます。給与明細で「雇用保険料」が天引きされているかどうかを確認してみましょう。

2028年10月からは適用対象が拡大

雇用保険法の改正により、2028年10月からは週所定労働時間が「10時間以上」の労働者まで雇用保険の対象が拡大されます。これにより、これまで加入できなかった短時間労働者も新たに制度の対象となる見込みです。

傷病手当金の場合

傷病手当金については、健康保険の被保険者であれば雇用形態に関係なく受給できます。ただし、勤務先が健康保険に加入しておらず、国民健康保険に加入している場合は、傷病手当金の制度自体がないため受給できません。

パートやアルバイトの方は、自分がどの保険に加入しているかを確認し、受給資格があるかどうかを事前にチェックしておくことが大切です。

退職給付金はいくらもらえる?計算方法

退職給付金を申請する前に、多くの方が気になるのは「実際にいくらもらえるのか」という点でしょう。支給額は退職前の給与や退職理由、年齢などによって大きく変わるため、事前に計算方法を理解しておくことが大切です。

ここでは、失業保険と再就職手当を中心に、具体的な計算方法と支給額の目安を解説します。

失業保険の支給額は賃金日額で決まる

失業保険でもらえる1日あたりの金額は「基本手当日額」と呼ばれ、退職前の給与をもとに計算されます。計算の流れは以下のとおりです。

ステップ1:賃金日額を算出する

まず、退職前6ヶ月間に支払われた賃金(ボーナスを除く)の合計額を180で割り、「賃金日額」を算出します。

賃金日額 = 退職前6ヶ月間の賃金合計 ÷ 180

たとえば、退職前6ヶ月間の賃金合計が180万円の場合、賃金日額は1万円となります。

ステップ2:給付率をかけて基本手当日額を算出する

賃金日額に所定の給付率(50〜80%)をかけると、1日あたりの支給額である「基本手当日額」が求められます。

基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(50〜80%)

給付率は賃金日額が低いほど高く設定されており、離職前の賃金が低い人ほど手厚い支援を受けられる仕組みです。60歳〜64歳の場合は45〜80%の給付率が適用されます。

基本手当日額の上限額(2024年8月時点)

基本手当日額には年齢区分ごとに上限が設けられています。

年齢区分上限額
29歳以下6,945円
30〜44歳7,715円
45〜59歳8,490円
60〜64歳7,294円

計算例

退職前6ヶ月間の賃金合計が150万円(月収約25万円)の35歳の場合を計算してみましょう。

  • 賃金日額:150万円 ÷ 180 = 約8,333円
  • 基本手当日額:8,333円 × 約60% = 約5,000円

この場合、1日あたり約5,000円の失業保険を受け取れる計算です。

給付日数は退職理由と年齢で異なる

失業保険の総支給額を知るには、基本手当日額に加えて「所定給付日数」を把握する必要があります。所定給付日数は、退職理由・年齢・雇用保険の加入期間によって90日から330日の範囲で決まります。

自己都合退職の場合(一般受給資格者)

自己都合退職の場合、年齢に関係なく雇用保険の加入期間のみで給付日数が決まります。

被保険者期間給付日数
1年以上10年未満90日
10年以上20年未満120日
20年以上150日

会社都合退職の場合(特定受給資格者)

倒産・解雇などによる会社都合退職の場合は、年齢と被保険者期間の両方によって給付日数が決まり、自己都合退職よりも多くなります。

年齢\被保険者期間1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
30歳未満90日90日120日180日
30〜34歳90日120日180日210日240日
35〜44歳90日150日180日240日270日
45〜59歳90日180日240日270日330日
60〜64歳90日150日180日210日240日

総支給額の計算例

先ほどの例(基本手当日額5,000円)で、自己都合退職・被保険者期間8年の場合を計算すると、以下のようになります。

総支給額 = 5,000円 × 90日 = 45万円

同じ条件で会社都合退職(35歳)の場合は、給付日数が180日となるため、総支給額は90万円に増えます。退職理由によって受け取れる金額に大きな差が出ることがわかります。

再就職手当の支給額の計算式

再就職手当は、失業保険を受給している途中で早期に再就職した場合に支給される一時金です。支給額は、失業保険の残日数と支給率によって決まります。

計算式

再就職手当 = 基本手当日額 × 残日数 × 支給率

支給率

支給率は、再就職時点での失業保険の残日数によって異なります。

残日数支給率
所定給付日数の3分の2以上70%
所定給付日数の3分の1以上60%

早く就職を決めるほど残日数が多くなり、支給率も高くなるため、受け取れる金額が増える仕組みです。

計算例

基本手当日額5,000円、所定給付日数120日の方が、残日数80日(3分の2以上)の時点で再就職した場合を計算してみましょう。

再就職手当 = 5,000円 × 80日 × 70% = 28万円

一方、残日数が50日(3分の1以上)の時点で再就職した場合は、以下のようになります。

再就職手当 = 5,000円 × 50日 × 60% = 15万円

このように、早期に再就職を決めることで、失業保険を最後まで受給するよりも多くの給付金を一括で受け取れるケースもあります。転職活動を計画的に進め、再就職手当を有効活用しましょう。

退職給付金の申請手続きと必要書類

退職給付金は、条件を満たしていても自動的に支給されるわけではありません。自分でハローワークに出向き、必要な書類を揃えて申請手続きを行う必要があります。

手続きが遅れると受給開始も遅れてしまうため、退職後はできるだけ早く行動することが大切です。ここでは、失業保険を中心に、申請の流れと必要書類について詳しく解説します。

失業保険申請の流れを5ステップで解説

失業保険の申請から受給までは、以下の5つのステップで進みます。全体の流れを把握しておくことで、スムーズに手続きを進められます。

ステップ1:離職票を受け取る

退職後、会社から「離職票-1」と「離職票-2」が届きます。離職票は失業保険の申請に必須の書類であり、届かなければ手続きを始められません。

通常、退職日から10日〜2週間程度で届きますが、届かない場合は会社に確認しましょう。

ステップ2:ハローワークで求職申し込み・受給資格の決定

離職票が届いたら、住所地を管轄するハローワークに行き、求職の申し込みと受給資格の決定手続きを行います。この日が「受給資格決定日」となり、ここから7日間の待期期間がスタートします。

窓口では、離職理由の確認や今後の就職活動についてのヒアリングが行われます。

ステップ3:雇用保険説明会に参加する

受給資格決定後、指定された日時に雇用保険説明会に参加します。説明会では、失業保険の受給ルールや求職活動の進め方について説明を受けます。

説明会に参加すると「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が交付され、第1回目の失業認定日が知らされます。

ステップ4:失業の認定を受ける

指定された失業認定日(原則4週間に1度)にハローワークへ出向き、失業状態にあることの認定を受けます。認定を受けるには、認定対象期間中に原則2回以上の求職活動実績が必要です。

求職活動実績として認められるのは、以下のような活動です。

  • ハローワークでの職業相談・職業紹介
  • 企業への応募(履歴書の提出、面接など)
  • 民間の職業紹介事業者での相談
  • 企業説明会やセミナーへの参加

ステップ5:失業保険の振り込み

失業認定日から通常5営業日程度で、指定した金融機関の口座に失業保険が振り込まれます。その後は、再就職が決まるか所定給付日数が終了するまで、ステップ4と5を繰り返します。

自己都合退職の場合は、待期期間(7日間)に加えて1ヶ月間の給付制限期間があるため、実際に振り込まれるのは申請から約1ヶ月半後となります。

申請時に必要な書類一覧

ハローワークで失業保険の受給手続きを行う際には、以下の書類を持参する必要があります。事前に揃えておくと、手続きがスムーズに進みます。

必ず必要な書類

書類名入手先・備考
離職票-1、離職票-2退職後に会社から届く
マイナンバーカード持っていない場合は下記の書類で代用可
本人確認書類運転免許証、パスポートなど写真付きのもの
証明写真2枚縦3cm×横2.4cm、最近撮影したもの
本人名義の預金通帳またはキャッシュカード振込先口座の確認用
印鑑(認印可)シャチハタ不可

マイナンバーカードがない場合

マイナンバーカードを持っていない場合は、以下の2種類の書類が必要です。

  • 個人番号確認書類:通知カード、または個人番号が記載された住民票
  • 身元確認書類:運転免許証、パスポート、官公署が発行した写真付き身分証明書など

写真付きの身分証明書がない場合は、健康保険証や年金手帳など、異なる2種類の書類を組み合わせて提出します。

注意点

必要書類は変更される場合があるため、手続き前に管轄のハローワークのWebサイトや電話で最新情報を確認することをおすすめします。書類に不備があると手続きが進まず、受給開始が遅れる原因になります。

離職票が届かない場合の対処法

離職票は失業保険の申請に欠かせない書類ですが、退職後なかなか届かないケースも少なくありません。届かない場合は、以下の手順で対処しましょう。

①まずは会社に確認する

離職票は、会社がハローワークに届け出た後に発行されます。通常は退職日から10日〜2週間程度で届きますが、届かない場合はまず会社の人事・総務担当者に発行状況を確認しましょう。

会社側の手続きが遅れているケースや、郵送中のトラブルで届いていない可能性もあります。

②ハローワークに相談する

会社に連絡しても対応してもらえない場合や、会社が倒産して連絡が取れない場合は、ハローワークに相談しましょう。ハローワークから会社に対して離職票の発行を促す連絡を入れてもらえます。

また、離職票がなくても「仮手続き」として求職申し込みができる場合があります。仮手続きを行っておけば、離職票が届き次第、正式な手続きに切り替えられるため、受給開始の遅れを最小限に抑えられます。

③マイナポータルで受け取る方法も

2024年以降、一定条件を満たしていればマイナポータル経由で離職票を電子的に受け取ることが可能になりました。この方法を利用したい場合は、退職前に会社の担当者に申し出ておく必要があります。

離職票が届くまでにやっておくこと

離職票が届くまでの間も、時間を無駄にしないよう以下の準備を進めておきましょう。

  • 必要書類(証明写真、本人確認書類など)を揃えておく
  • 管轄のハローワークの場所と受付時間を確認する
  • 求人情報のチェックや応募書類の準備を始める

離職票の到着を待つ間に準備を整えておけば、届き次第すぐに手続きを進められます。

退職給付金を受け取る際の注意点

退職給付金は、正しく申請すれば退職後の生活を支える心強い制度です。しかし、申請期限を過ぎてしまったり、制度のルールを理解していなかったりすると、本来受け取れるはずの給付金を逃してしまう可能性があります。

また、近年は退職給付金に関するトラブルも報告されています。ここでは、給付金を確実に受け取るために知っておくべき注意点を解説します。

申請期限を過ぎると受給できない

退職給付金には、それぞれ申請期限が設けられています。期限を過ぎると、条件を満たしていても受給できなくなるため、退職後は早めに手続きを進めることが重要です。

主な退職給付金の申請期限

給付金の種類申請期限
失業保険(基本手当)離職日の翌日から原則1年間
再就職手当就職日の翌日から1ヶ月以内
傷病手当金労務不能であった日ごとにその翌日から2年間
高年齢求職者給付金離職日の翌日から1年間
教育訓練給付金受講修了日の翌日から1ヶ月以内

特に注意が必要なのは失業保険です。申請期限は離職日の翌日から1年間ですが、これは「受給できる期間」でもあります。申請が遅れると、所定給付日数を満額受け取れないまま期限を迎えてしまうケースがあります。

たとえば、所定給付日数が150日ある方が、離職から8ヶ月後に申請した場合、残りの受給期間は約4ヶ月(120日程度)しかありません。結果として、30日分の給付を受け取れずに終わってしまいます。

退職したら離職票が届き次第、できるだけ早くハローワークで手続きを行いましょう。

同時受給できない給付金の組み合わせ

退職給付金のなかには、同時に受給できるものと、選択が必要なものがあります。複数の給付金を組み合わせて最大限に活用するには、それぞれの関係性を理解しておくことが大切です。

同時受給できない主な組み合わせ

組み合わせ可否備考
失業保険 + 傷病手当金×どちらか一方を選択
失業保険 + 老齢年金(65歳未満)×失業保険を選ぶと年金が停止
失業保険 + 再就職手当早期再就職で切り替え可能
失業保険 + 教育訓練給付金併用可能
傷病手当金 + 障害年金調整あり(差額支給)

失業保険と傷病手当金の関係

失業保険は「働ける状態にあること」が条件であり、傷病手当金は「働けない状態にあること」が条件です。そのため、両者を同時に受給することはできません。

病気やケガで退職した場合は、まず傷病手当金を受給し、回復して働ける状態になってから失業保険に切り替えるのが一般的な流れです。傷病手当金の受給期間中は、ハローワークで失業保険の受給期間延長手続きを行っておきましょう。

給付金を最大化するには

どの給付金をどの順番で受け取るかによって、総支給額が数十万円〜数百万円変わることもあります。自分の状況に合った最適な受給プランを立てるには、ハローワークの窓口で相談するか、社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。

怪しい給付金サポート業者に注意

近年、「退職給付金で最大○○万円もらえる」といった広告を見かける機会が増えています。退職給付金の申請をサポートするサービス自体は違法ではありませんが、なかには悪質な業者も存在するため注意が必要です。

注意すべき業者の特徴

  • 「誰でも必ず○○万円もらえる」など、根拠のない高額受給をうたっている
  • 成功報酬として給付金の20〜30%など高額な手数料を請求する
  • 契約前に詳しい説明をせず、強引に契約を迫る
  • 解約しようとすると高額な違約金を請求する
  • 虚偽の申請内容を指示する(不正受給に該当する可能性あり)

実際に報告されているトラブル

消費者庁や国民生活センターには、以下のようなトラブルが報告されています。

  • 高額な手数料を支払ったが、結局自分でハローワークに行って手続きをしただけだった
  • 「給付金がもらえる」と言われて契約したが、条件を満たしておらず受給できなかった
  • 解約を申し出たら、説明されていなかった違約金を請求された

給付金の申請は自分でできる

失業保険や再就職手当などの申請手続きは、ハローワークで無料で行えます。必要書類を揃えて窓口に行けば、職員が丁寧に案内してくれるため、業者に依頼しなくても問題なく手続きできます。

制度について詳しく知りたい場合は、ハローワークの窓口に相談するか、厚生労働省のWebサイトで最新情報を確認しましょう。どうしても不安な場合は、社会保険労務士など国家資格を持つ専門家に相談することをおすすめします。

まとめ:退職給付金を正しく理解して最大限活用しよう

退職給付金とは、退職時や退職後に受け取れるお金の総称であり、失業保険や再就職手当、傷病手当金など、さまざまな制度が含まれています。退職金とは異なり、国が運営する公的制度として、条件を満たせば誰でも申請できる点が特徴です。

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この記事を書いた人

木本旭洋のアバター 木本旭洋 株式会社イールドマーケティング代表取締役

株式会社イールドマーケティング代表。大手広告代理店でアカウントプランナー、スタートアップで広告部門のマネージャーを経験後、2022年に当社を創業。バックオフィス部門も統括。総務、労務にも精通している。

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