MENU

失業保険は就職が決まったらどうなる?手続きの流れと再就職手当を解説

失業保険の受給中に就職が決まったら、どのような手続きが必要なのでしょうか。

本記事では、ハローワークへの報告から採用証明書の準備、失業認定の受け方まで、就職決定後にやるべき手続きを4ステップで解説します。

目次

失業保険は就職が決まったらどうなる?

失業保険(雇用保険の基本手当)を受給している最中に「就職が決まったらどうなるの?」と不安を感じる方は多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、再就職が決まっても失業保険がいきなり打ち切られることはありません。就職日の前日分までは支給を受けられるため、収入が途切れる心配は不要です。

ただし、就職が決まったタイミングによって対応が異なります。失業保険の受給中に内定をもらった場合と、退職前にすでに転職先が決まっている場合では、そもそも受給できるかどうかが変わってきます。

ここでは、就職が決まった際の失業保険の扱いについて、ケース別にわかりやすく解説します。

就職日の前日まで失業保険は受給できる

失業保険を受給している期間中に再就職先が決まった場合、失業保険は就職日の前日分まで受け取ることができます。

たとえば、4月15日から新しい会社で働き始める場合、4月14日分までの基本手当が支給対象となります。正式な手続きとしては、就職日の前日にハローワークへ来所し、その日までの「失業認定」を受ける流れです。

このとき、採用証明書や雇用保険受給資格者証、失業認定申告書を持参する必要があります。就職日の前日が土日祝日でハローワークが閉庁している場合は、その直前の開庁日に来所しましょう。

就職が決まっても給付がすぐ止まるわけではない

「就職が決まったことをハローワークに報告したら、その時点で給付が止められてしまうのでは?」と心配される方もいるかもしれません。

しかし、ハローワークに報告した時点で給付が止まるわけではないので安心してください。失業保険の支給が終了するのは、あくまでも実際に就職する日からです。報告から就職日の前日までの期間は、通常どおり基本手当の支給対象となります。

むしろ、就職が決まったにもかかわらずハローワークへの報告を怠ったまま働き始めてしまうと、就業しながら手当を受け取っていることになり、不正受給を疑われるおそれがあります。不正受給と判断された場合、受給した金額の最大3倍の返還を命じられるケースもあるため、内定が出たらできるだけ早くハローワークに電話で連絡しましょう。

報告は電話で行えば問題なく、この段階で来所する必要はありません。

退職前に転職先が決まっている場合は受給不可

注意が必要なのは、前職を退職する前の時点ですでに転職先が決まっているケースです。この場合、そもそも失業保険を受給することはできません。

失業保険は「失業の状態」にある方を支援するための制度です。具体的には、就職しようとする積極的な意思と能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない状態であることが受給要件とされています。

転職先の内定が出ている状態は、この「失業の状態」に該当しないため、受給資格を満たしません。仮に退職から入社までに数週間の空白期間があったとしても、受給資格決定前から採用が内定していた場合は対象外です。

就職が決まったらやるべき手続き4ステップ

失業保険の受給中に再就職先が決まったら、速やかにハローワークでの手続きを進める必要があります。手続きを怠ると不正受給とみなされるリスクがあるため、就職が決まった時点で早めに動き始めましょう。

ここでは、就職決定後に行うべき手続きを4つのステップに分けて、時系列に沿って解説します。

ステップ①ハローワークへ電話で報告する

再就職先が決まったら、まず管轄のハローワークに電話で報告しましょう。内定が出た時点でできるだけ早く連絡するのがポイントです。

この段階ではハローワークへ直接出向く必要はなく、電話一本で問題ありません。連絡の際には、就職先の会社名や入社予定日を伝えられるよう準備しておくとスムーズです。

「報告したら給付が止まってしまうのでは」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、前述のとおり、ハローワークに報告した時点で給付が止まることはありません。失業保険は就職日の前日分まで受給できるため、早めに報告しても損をすることはないので安心してください。

むしろ報告が遅れて就職後も給付を受け取ってしまうと、不正受給となるおそれがあります。不正受給と判断された場合は、受給額の最大3倍の返還を求められることもあるため、後回しにせず速やかに連絡しましょう。

ステップ②採用証明書を就職先に記入してもらう

ハローワークへの報告と並行して、「採用証明書」の準備を進めます。採用証明書とは、失業保険の受給者が再就職したことを証明するための書類で、就職の届出に欠かせないものです。

採用証明書は、失業保険の申請時にハローワークから配布される「受給資格者のしおり」の巻末に同封されています。もし紛失してしまった場合でも、管轄のハローワークや労働局のホームページからダウンロードできるので慌てる必要はありません。ただし自治体によって書式が異なるため、必ず自分の管轄のハローワークの様式を使うようにしましょう。

採用証明書には、再就職先の事業主に記入してもらう欄があります。内定先の企業に連絡し、会社名や採用日、雇用形態などの必要項目の記入を依頼してください。企業側の対応に時間がかかることもあるため、内定が出たらなるべく早く依頼するのがおすすめです。

ステップ③就職日の前日にハローワークで失業認定を受ける

採用証明書の準備ができたら、就職日の前日にハローワークへ来所し、その日までの失業認定を受けます。この手続きが最後の失業認定となり、認定を受けた日数分の基本手当が後日振り込まれる仕組みです。

来所の際には、窓口で就職が決まった旨の申告(就職申告)を行い、採用証明書をあわせて提出します。就職日の前日が土日祝日でハローワークが閉庁している場合は、その直前の開庁日に来所してください。たとえば月曜日から就職する場合は、金曜日に手続きを行います。

持参する3つの必要書類

就職日の前日にハローワークへ来所する際には、以下の3つの書類を忘れずに持参しましょう。

1つ目は「採用証明書」です。ステップ②で再就職先の事業主に記入してもらったものを提出します。

2つ目は「雇用保険受給資格者証」です。これは失業保険の受給資格を証明する書類で、雇用保険説明会などでハローワークから交付されたものです。マイナンバーカードを受給手続き時に提示している場合は、受給資格者証の代わりにマイナンバーカードの提示で対応できます。

3つ目は「失業認定申告書」です。就職日の前日までに行った求職活動の実績や、就労の有無などを記載する書類です。求職活動実績が不足していると、就職日前日までの基本手当が「不認定」となり受給できないケースもあるため、記入内容は事前にしっかり確認しておきましょう。

これら3つの書類がひとつでも欠けると、正式な手続きが完了しない場合があります。来所前に必ずチェックしてください。

ステップ④再就職手当の申請手続きを行う

就職の届出が完了したら、再就職手当の受給要件を満たしているかどうかを確認しましょう。条件に該当する場合は、忘れずに申請手続きを行います。

再就職手当の手続きは、ステップ③の就職届出が完了した後でなければ行えません。要件を満たしている場合、ハローワークの窓口で「再就職手当支給申請書」を受け取れます。

申請書を受け取ったら、自分で記入する欄を埋めたうえで、再就職先の企業にも必要事項の記入を依頼してください。記入が完了したら、「雇用保険受給資格者証」とあわせてハローワークへ提出します。

ここで特に気をつけたいのが申請期限です。再就職手当の申請期限は、就職日の翌日から1ヵ月以内と定められています。この期限を過ぎると申請が受け付けられなくなるため、就職後は早めに手続きを進めましょう。

申請後はハローワークで審査が行われ、支給が決定すると「再就職手当支給決定通知書」が届きます。通知書の到着から約1週間以内に、指定の銀行口座へ一括で振り込まれます。審査には1〜2ヵ月ほどかかることがあるため、すぐには入金されない点も理解しておきましょう。

再就職手当とは?受給条件と支給額を解説

再就職手当とは、失業保険(基本手当)の受給資格がある方が、所定給付日数を一定以上残した状態で早期に再就職した場合に支給される一時金です。正式には「就業促進給付」のひとつに分類され、早めに再就職した方へのインセンティブ(報奨金)としての役割を持っています。

「失業保険をもらいきらずに就職したら損をするのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、再就職手当を活用すれば、残りの給付日数分の60〜70%を一括で受け取ることが可能です。早く就職するほど受け取れる金額が大きくなる仕組みのため、条件を満たす方はぜひ申請しましょう。

再就職手当の申請方法と注意点

再就職手当は、受給条件を満たしていても自動的に振り込まれるわけではありません。自分で申請手続きを行わなければ受け取れない仕組みになっているため、就職が決まったら早めに準備を進めることが大切です。

申請には専用の書類が必要で、再就職先の企業にも記入を依頼する工程があります。また、申請期限が設けられているため、うっかり期限を過ぎてしまうと支給を受けられなくなるおそれもあります。

ここでは、再就職手当の申請書の書き方から提出先、申請期限、支給までのスケジュールまで、手続きの全体像を詳しく解説します。

再就職手当支給申請書の書き方と提出先

再就職手当を申請するには、「再就職手当支給申請書」をハローワークに提出する必要があります。この申請書は、就職日の前日に行う就職届出の手続きが完了した際に、ハローワークの窓口で交付されます。受け取り忘れた場合や紛失した場合は、ハローワークの公式ホームページからダウンロードも可能です。

申請書には、本人が記入する欄と再就職先の事業主が記入する欄の2つがあります。まずは自分で記入できる部分を埋めたうえで、再就職先の企業に書類を渡し、事業主欄への記入を依頼しましょう。事業主欄には、採用日や雇用形態、雇用期間の見込みなどを記載してもらいます。

企業によっては記入に時間がかかることもあるため、入社後できるだけ早いタイミングで依頼するのがおすすめです。特に大企業の場合は人事部門での確認フローが発生するケースもあり、想定以上に日数がかかることがあります。

記入が完了したら、申請書と「雇用保険受給資格者証」をあわせて、管轄のハローワークに提出します。失業保険の受給手続き時にマイナンバーカードを提示している方は、受給資格者証の代わりにマイナンバーカードの提示で対応可能です。

提出方法は、ハローワーク窓口への持参のほか、郵送や代理人による提出も認められています。入社直後で平日に来所する時間が取れない方は、郵送での提出を検討するとよいでしょう。

申請期限は就職日の翌日から1ヵ月以内

再就職手当の申請で最も気をつけたいのが、申請期限です。再就職手当の申請期限は、就職した日の翌日から1ヵ月以内と定められています。

たとえば4月1日に入社した場合、申請期限は5月1日までです。この期限を過ぎてしまうと原則として申請が受け付けられなくなり、本来受け取れるはずだった手当を逃してしまうことになります。

再就職手当は数万円から数十万円にのぼるケースもあるため、期限切れによる受給漏れは大きな損失です。就職が決まった時点でスケジュールを逆算し、余裕を持って手続きを進めましょう。

具体的には、入社前にハローワークで申請書を受け取り、入社後すぐに再就職先へ事業主欄の記入を依頼するのが理想的な流れです。企業側の記入に1〜2週間かかることを想定すると、入社から2週間以内に依頼を済ませておけば、期限内に無理なく提出できます。

支給までにかかる期間は約1〜2ヵ月

申請書を提出した後は、ハローワークによる審査が行われます。審査期間はおおむね1ヵ月程度ですが、書類の不備や確認事項がある場合はそれ以上かかることもあり、申請から振り込みまでトータルで1〜2ヵ月程度を見込んでおくとよいでしょう。

審査が完了し支給が決定すると、「再就職手当支給決定通知書」が自宅に届きます。この通知書が届いてからおおむね1週間以内に、指定した銀行口座へ一括で振り込まれる流れです。

支給決定通知書には、支給額の計算内訳も記載されています。届いたら内容を確認し、想定していた金額と相違がないかチェックしておきましょう。

就職が決まったときに知っておきたい注意点

失業保険の受給中に就職が決まった場合、手続きの流れだけでなく、知っておくべき注意点がいくつかあります。報告を怠った場合のリスクや、給付制限期間中に就職が決まったケースの扱い、さらには再就職手当以外にも受け取れる可能性のある手当など、見落としがちなポイントを押さえておくことが大切です。

ここでは、就職が決まった際にトラブルを防ぎ、受け取れる手当を最大限活用するために知っておきたい注意点を解説します。

ハローワークへの報告を忘れると不正受給になる

再就職が決まったにもかかわらず、ハローワークへの報告を怠ったまま失業保険を受け取り続けると、不正受給と判断されるおそれがあります。

失業保険は「失業の状態」にある方を支援する制度です。就職先が決まった時点で失業の状態ではなくなるため、本来は受給資格を失います。それにもかかわらず給付を受け続けた場合、たとえ故意でなくても不正受給として扱われる可能性があるのです。

不正受給と認定された場合のペナルティは決して軽くありません。まず、不正に受給した日以降の基本手当の支給がすべて停止されます。さらに、不正に受け取った金額の全額返還に加え、その金額の最大2倍の納付を命じられることがあります。つまり、受給した額の最大3倍の金額を支払わなければならないケースもあるということです。

「就職や就労をしたことを申告しなかった」というケースは、代表的な不正受給のパターンとして挙げられています。うっかり報告を忘れていたとしても、結果的に不正受給と判断される可能性があるため、内定をもらったらその日のうちに電話連絡するくらいの意識で臨みましょう。

給付制限中に就職が決まった場合の扱い

自己都合で退職した場合、失業保険には原則1ヵ月の給付制限期間が設けられています。この給付制限期間中に就職が決まった場合でも、ハローワークへの報告と就職届出の手続きは必要です。

給付制限期間中は基本手当が支給されていないため、「特に手続きはいらないのでは」と思う方もいるかもしれません。しかし、給付制限中であっても就職が決まれば入社日よりも前に就職の届出を行う必要があります。まずはハローワークに連絡し、届出の日程などについて指示を仰ぎましょう。

また、給付制限期間中に就職が決まった場合でも、条件を満たせば再就職手当を受け取れる可能性があります。ただし注意が必要なのは、待期期間満了後の1ヵ月間に就職した場合、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職でなければ再就職手当の対象にならないという点です。

この1ヵ月間を経過した後であれば、求人サイトや知人の紹介など、どのような経路で就職しても再就職手当の要件を満たすことができます。就職活動の経路によって受給の可否が変わるため、自分がどのタイミングでどの経路で就職したかを正確に把握しておくことが重要です。

再就職後にもらえるその他の手当

再就職が決まった際に受け取れる手当は、再就職手当だけではありません。状況によっては、再就職後にさらに別の手当を受給できるケースもあります。代表的なものが「就業促進定着手当」です。

そのほか、失業保険の支給残日数が所定給付日数の3分の1未満であっても、1日以上残っていれば「常用就職支度手当」を受給できる可能性があります。常用就職支度手当は、身体的・精神的な障がいをお持ちの方や45歳以上の方など、就職が特に困難な状況にある方を対象とした手当です。ハローワークの紹介により1年以上の雇用見込みがある職業に就いた場合に支給されるため、該当する方は窓口で確認してみましょう。

就業促進定着手当の概要と条件

就業促進定着手当とは、再就職手当の支給を受けた方が再就職先に6ヵ月以上雇用され、かつ再就職後の賃金が離職前の賃金よりも低い場合に支給される手当です。再就職手当が「早期に就職したこと」に対する報奨金であるのに対し、就業促進定着手当は「再就職先に定着したこと」に対するサポートとしての位置づけになっています。

支給を受けるための主な条件は3つあります。1つ目は、再就職手当の支給を受けていること。2つ目は、再就職先に6ヵ月以上継続して雇用されていること。3つ目は、再就職後6ヵ月間に支払われた賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回っていることです。

支給額は、離職前の賃金日額と再就職後の賃金日額の差額に、再就職後6ヵ月間の賃金支払いの基礎となった日数を掛けて算出されます。

転職によって給与が下がった方にとっては、収入の減少を補填してくれるありがたい制度です。再就職手当を受給した方は、入社から6ヵ月経過した時点で自分が対象になるかどうかを忘れずに確認し、該当する場合はハローワークで申請手続きを行いましょう。

まとめ:就職が決まったら早めの手続きで再就職手当を確実に受け取ろう

失業保険の受給中に就職が決まった場合、失業保険は就職日の前日分まで受け取ることができます。ハローワークに報告した時点で給付が止まるわけではないため、内定が出たらできるだけ早く連絡しましょう。

手続きを後回しにすると、申請期限を過ぎて受給できなくなったり、報告漏れによって不正受給を疑われたりするリスクがあります。就職が決まったら速やかに行動を起こし、受け取れる手当を確実に手にしてください。

この記事を書いた人

木本旭洋のアバター 木本旭洋 株式会社イールドマーケティング代表取締役

株式会社イールドマーケティング代表。大手広告代理店でアカウントプランナー、スタートアップで広告部門のマネージャーを経験後、2022年に当社を創業。バックオフィス部門も統括。入社・退職時の年金、健康保険、雇用保険、年末調整などを行なっています。

目次